■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■               月刊 海外ミステリ通信           第41号 2005年1月号(毎月15日配信) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ★今月号の内容★ 〈新春特別企画〉   2004年フーダニット・ベスト10発表! 〈座談会〉      フーダニット・ベスト10で2004年のミステリを振り返る (今月は特別編成でお届けします) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■新春特別企画 ―― 2004年フーダニット・ベスト10発表! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  2004年の年末、恒例の〈フーダニット翻訳倶楽部年間ベスト・ミステリ〉の投票が 行われました。去年まではそれぞれのベスト10冊を出していただいていましたが、今 年は5冊と投票数を減らしました。その結果、投票者それぞれの好みがはっきり出た ようです。話題作や他のメジャーなベスト10でも評判のよかった作品が入っているほ か、クラシックありハードボイルドあり冒険小説ありと、さまざまなジャンルがほど よく混ざってバランスのいい結果になったように思えます。ご自分のベスト10と比べ ていかがでしょうか? ※投票規定  2003年11月1日〜2004年10月31日に刊行された新刊ミステリ作品が対象(文庫化や  再販、新訳などは除く)。会員は5作品まで投票可能。1位=5点〜5位=1点に して集計。 ※投票期間=2004年12月1日〜12月15日 ※投票者数=14人 1.『ダ・ヴィンチ・コード』 26点   ダン・ブラウン/越前敏弥訳/角川書店   ◆ルーヴル美術館館長の奇怪な死体には、とてつもないダイイングメッセージが   隠されていた。象徴学者ラングドンが暗号の謎を追って歴史の深淵に迫る。 2.『魔術師 イリュージョニスト』 14点   ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳/文藝春秋   ◆NYの怪事件を次々に解決してきたライムとサックス巡査コンビが、殺人魔術   師の周到なトリックと巧みなミスディレクションをかわして真実を見抜く! 3.『荊の城』 11点   サラ・ウォーターズ/中村有希訳/創元推理文庫   ◆だましだまされながら、荊(いばら)の蔓に絡めとられるように結びついてい   くふたりの少女の運命。読者を陶然とさせるヴィクトリアン・ミステリ第2弾! 4.『快楽通りの悪魔』 9点   デイヴィッド・フルマー/田村義進訳/新潮文庫   ◆人種差別が根強く残る1907年のニューオーリンズ。猥雑な赤線地帯ストーリー   ヴィルで起きた娼婦連続殺人事件を、孤高のクレオール探偵が追う! 5.『弁護士は奇策で勝負する』 8点   デイヴィッド・ローゼンフェルト/白石朗訳/文春文庫   ◆死刑囚の冤罪を晴らせ! 勝ち目のない裁判に、へらず口マシーンの弁護士ア   ンディがあの手この手の秘策で挑む。痛快で爽快な法廷ミステリ。 6.『終わりなき孤独』 7点   ジョージ・P・ペレケーノス/佐藤耕士訳/ハヤカワ・ミステリ文庫   ◆犯罪都市ワシントンDCに生きる子どもたちを、加害者にも被害者にもしたく   ない。探偵デレク・ストレンジの、そしてペレケーノスの熱い思いが胸をうつ。 6.『運び屋を追え』 7点   ジェイ・マクラーティ/山本光伸訳/二見文庫   ◆ダイエット薬の致命的な臨床データを巡り、主人公の運び屋と製薬会社社長が   雇った殺し屋との追跡劇! パソコンやメールを駆使した追跡は超スリリング! 6.『貧者の晩餐会』 7点   イアン・ランキン/延原泰子他訳/ハヤカワ・ミステリ   ◆リーバス警部ものやCWA最優秀短篇賞受賞作「動いているハーバート」など   21篇を収録した短篇集。キャラクターやプロットが多彩で、かつ完成度も高い。 9.『蛇の形』 6点   ミネット・ウォルターズ/成川裕子訳/創元推理文庫   ◆事故か、殺人か。20年前の黒人女性の死の謎を、その最期を看取った女性が執   拗に追う。人の心に潜む邪悪さを容赦なくえぐりながらも泣かせるのはなぜ? 10.『死刑判決』 5点   スコット・トゥロー/佐藤耕士訳/講談社文庫   ◆目前にせまる死刑執行をめぐってくり広げられるタイムリミット・リーガル・   サスペンス。主要登場人物4人の視点で描かれる展開が読みどころ。 10.『死のように静かな冬』 5点   P・J・パリッシュ/長島水際訳/ハヤカワ・ミステリ文庫   ◆雪に閉ざされた湖畔の小さな町で起きた連続警官殺し。流浪の警察官ルイス・   キンケイドが見たあまりにも哀しい事件の真相とは……。 10.『死を呼ぶペルシュロン』 5点   ジョン・フランクリン・バーディン/今本渉訳/晶文社   ◆「真っ赤なハイビスカスを髪にさしていると小人が10ドルくれる」患者と一緒   に小人に会いにいった医師が事件に巻き込まれる。心理的恐怖を描いたミステリ。 10.『ダーク・レディ』 5点   リチャード・ノース・パタースン/東江一紀訳/新潮文庫   ◆市長選最中に起こった連続殺人事件。その影には球場建設を巡るさまざまな思   惑が潜んでいた。検事補ステラが自らの痛みと向かい合いながら真相に迫る! 10.『タトゥ・ガール』 5点   ブルック・スティーヴンズ/細美遥子訳/講談社文庫   ◆全身くまなく鱗の刺青で覆われた少女にはどんな過去が? 「普通」でない苦   痛を知り尽くすルーシーは、少女を呪縛から解き放つために過去に挑む。 10.『迷宮の暗殺者』 5点   デイヴィッド・アンブローズ/鎌田三平訳/ヴィレッジブックス   ◆特殊工作員チャーリーは医師スーザンに出会ったとき、失われていた記憶を取   り戻したかに思われたが……そしてチャーリーを待ち受ける驚愕の結末とは? 次点(各4点)   『怪盗ニック対女怪盗サンドラ』     エドワード・D・ホック/木村二郎訳/ハヤカワ・ミステリ文庫   『奇術師』クリストファー・プリースト/古沢嘉通訳/ハヤカワ文庫FT   『ミス・ラモツエの事件簿2 キリンの涙』     アレグザンダー・マコール・スミス/小林浩子訳/ヴィレッジブックス   『馬鹿★テキサス』ベン・レーダー/東野さやか訳/ハヤカワ・ミステリ文庫   『ビンラディンの剣』ジェラール・ド・ヴィリエ/小林修訳/扶桑社ミステリー   『ブラック・リスト』サラ・パレツキー/山本やよい訳/早川書房   『フランチェスコの暗号』     イアン・コールドウェル、ダスティン・トマスン/柿沼瑛子訳/新潮文庫   『夜の色』デイヴィッド・リンジー/鳥見真生訳/柏艪舎 ※ 投票結果および選評はこちらで公開しています。↓ http://www.litrans.net/whodunit/best/best04/index.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■座談会 ―― フーダニット・ベスト10で2004年のミステリを振り返る ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ベスト10の集計が終わった2004年12月某日某所、会員たちが集まってその結果につ いて語り合った。3時間の長丁場になってしまった去年の反省から、今年は2時間で 終えようと誓い合ったものの、やはりというべきなのか、3時間をこえる熱のこもっ た座談会となった。今年も座談会の様子を、できるだけライブなかたちでお届けする。                            (構成 かげやまみほ) [青丹] それではまず10位からいきます。6作品が入ってますね。『死刑判決』『タ    トゥ・ガール』『死のように静かな冬』『ダーク・レディ』『迷宮の暗殺者』    『死を呼ぶペシュロン』です。 [照柿] じゃあ、『迷宮の暗殺者』から行っていいですか。 [梅染] バカミスに選ばれてましたね。 [照柿] そうなんですよね。もう驚愕のラスト。 [梅染] あそこまでひっくり返る思いをした作品は、かつてなかった。 [紅藤] バカミスというのはかわいそうなような。 [梅染] そう、かわいそうだと思う。 [紅藤] でも、たしかに最後はびっくらこいた。 [梅染] 作者が承知でやってるところが、「バカミス」のツボにはまったんだと思う。 [照柿] 唖然としたいならぜひ。 [梅染] ひっくり返りたいならぜひ。 [浅黄] あ〜、読むのが楽しみだあ。 [淡香] おもしろそうですね。わたしも読んでみます。 [紅藤] 個人的には10位の中ではパリッシュを押したい! [梅染] わたしも押す。 [青丹] どういうところがいいですか? [梅染] ピンと張り詰めるような寒さが伝わってくるところと、語り口。 [青丹] なるほど。 [淡香] 寒さが似合うんでしょうか。 [梅染] あれは寒い土地だからこそのストーリーだと思います。 [紅藤] 派手じゃないけど味わい深い作品って、なかなか評価されにくいのが残念。    フーダ的に応援してほしい作家だよね。 [梅染] うん、ぜったい応援したい。 [淡香] では、近々ぜひとも読んでみます。 [梅染] 『死刑判決』もよくなかった? [紅藤] 読んでないんだよ〜。 [梅染] 4人の視点で語られるストーリーが、すごくよかったんだよ〜。 [紅藤] トゥローはしばらく読まなかったんだけど、これは興味あるな。 [梅染] 今年はパタースンの『ダーク・レディ』でちょっとがっかりしたんだけど、    これがその欲求不満を解消してくれた。 [紅藤] パタースンのあれは物足りなかったね。わたしの求めてるものとは違った。 [梅染] でも、けっこう評判いいんだよね。 [淡香] パタースンはスケールが大きくなった分、薄味になったような印象を受けま    した。といっても『罪の段階』しか読んでませんけど。これはよかった! [紅藤] 『罪の段階』はいいですよね! [淡香] 『子供の眼』はけっこうしんどいとか聞きましたが、どうでしょう? [紅藤] しんどい……かなあ。おもしろかったですよ。まあ、かわいそうな設定では    あるけれど。 [梅染] うん、パタースンはこれまでどれも好きだった。 [淡香] かわいそうですか……。パタースンはしばらく追いかけていきたい作家さん    です。 [浅黄] 「このミス」でも「本ミス」でも、ベスト10入りしなかった『死を呼ぶペル    シュロン』について言わせてほしい。 [梅染] ぜひぜひ。 [浅黄] 『奇術師』風の奇想ミステリなんです。途中まではめちゃくちゃすごい展開    で「この物語はどうなってしまうんだろー」という内容なのですが。最後が小    さくまとまってしまって……。 [梅染] でも、「がっかり」じゃない? [浅黄] 原作は1946年に発表されたのですが、当時こんなとんでもないことを考えた    人がいたんだーと感動しました。 [梅染] なるほどー。浅黄さんが推薦されるからには期待できますね。 [紅藤] この人は他に翻訳は出てるんですか? [浅黄] 『悪魔に喰われろ青尾蠅』ともう1冊『殺意のシナリオ』があります。 [梅染] 『悪魔に喰われろ〜』は、数年前に話題になってましたよね。 [紅藤] えー、じぇんじぇん知らない(笑)。 [浅黄] 『悪魔に喰われろ〜』は浅羽莢子さんの訳なのですが、本当にすばらしい作    品です。 [青丹] 最後に『タトゥ・ガール』について一言。全身に鱗状の刺青をされ、記憶を    失った少女が発見されて……というエピソードで始まります。途中から冒険小    説風になり結局めでたしめでたしで終わるので、わりと好みだったのですが、    ミステリとはちょっと違うかなぁという印象を受けました。どっちかといえば、    自分探しの旅といった風の小説でしたね。 [浅黄] 今年はミステリとはちょっと違うかなあって多いですよね。 [青丹] それでは9位にいきます。9位は『蛇の形』です。 [梅染] ウォルターズは、ちょっとズレてる女の人描くのうまいよね。 [浅黄] 「ちょっとズレてる女の人」ってそのとおりですね。構成がうまいですよね。    安心して読めます。はずれがない。 [梅染] ヒロインの正義感が怖かった。 [青丹] 怖かった? [梅染] おまえの言ってることは正しいかもしれないが、ちったぁまわりの迷惑考え    ろよ、と。 [淡香] 怖いというより気持ち悪いです。 [青丹] うーん、どんなヒロインなんだろう? [梅染] おのれの正義感を満たすために、周囲を巻きこんで突き進むヒロインで、そ    の「馬車馬状態」に怖さがあるんです。 [青丹] なるほど。それはやっぱり怖いかも。 [浅黄] 「真相」を追うって、今までもウォルターズの作品でテーマになっていませ    んか。 [梅染] 『女彫刻家』なんかも、ある意味そうだったかも。 [淡香] でも、結局「薮の中」みたいな。 [青丹] ウォルターズはちょっと暗そうで、なかなか手が伸びません。 [梅染] 暗いは暗いですね。 [照柿] わたしも怖くて手を出してません。 [淡香] 寝る前に読むといやな夢を見そうな感じです。 [梅染] わたしは、かな〜り好きな作家です。 [浅黄] わたしも好きですよ。 [淡香] 怖いけど、ついつい読んでしまいますよね。 [浅黄] いろんな意味で主人公の女性たちのすごさを感じます。でもおもしろいです    よ。 [青丹] では次。6位(6位は3作品あるので、6位の次が9位になっている)にい    っていいですか? 『終わりなき孤独』『貧者の晩餐会』『運び屋を追え』で    す。 [浅黄] 『貧者の晩餐会』はすごくお読み得ですよ。 [梅染] 評判いいですよね。 [浅黄] ランキンの短篇集なんですが、短篇集としての完成度が高い。短篇ひとつひ    とつストーリーもいいしキャラクターもよくできています。 [梅染] 短篇でおもしろいのって、貴重ですよね。 [照柿] そうなんです。わたしも読んでびっくりしたんですが、この人は「自分は短    篇作家だった」と言ってるんですよね。 [浅黄] 意外と読んだ人が少なかったので、高い点がでなかったんだと思います。長    篇ではリーバス(ランキンのシリーズ・キャラクター)っていう人間がわかり    にくけど、短篇のリーバスはうまく描けているんですよ。 [照柿] ディーヴァーも同じようなことを言っていて、この人の短篇もすっごくおも    しろいんですよ! このふたりの短篇はおすすめです。 [青丹] ディーヴァーは短篇集にならないですね。 [照柿] 原書では出てますよ。"TWISTED" っていうのが。日本でもいずれ出るのでは。 [梅染] 売れそうなのに、ディーヴァーの短篇集。 [青丹] リンカーン・ライムのシリーズが好評ですものね。 [青丹] 紅藤さん、『終わりなき孤独』についてお願いします。 [紅藤] ペレケーノス、いいです。泣けます。こればっか(笑)。正直言って、ワシン    トン・サーガ(ペレケーノスの代表的なシリーズ)にくらべると落ちるのです    けど、ペレケーノスの熱い心がひしひしと伝わってきていいんです。いまのア    メリカを代表する作家だからね、知識として読んでおくのもいいと思う。 [照柿] ワシントン・サーガとはつながってるんですか? [紅藤] ワシントン・サーガと新しいシリーズはつながってないです。 [照柿] じゃあ、こっちから先に読んでもいいんですね。 [紅藤] 『終わりなき孤独』はシリーズ2作目なので、その前に『曇りなき正義』を    読んでね。でも読むならワシントン・サーガを! ワシントン・サーガを読ん    でいれば、ペレケーノスを読んだと胸をはって言えるよ。 [照柿] 了解です。たしかこれも買ってあったはず……。 [青丹] ではワシントン・サーガを読んで、『曇りなき〜』と『終わりなき〜』か。 [鴇羽] 来年の宿題が山積み。 [淡香] 読みたい本リストがどんどん長くなりつつあります。 [梅染] 明日図書館に行くから、さっそく借りてこよう。 [青丹] 『運び屋を追え』についてお願いします、深緋さん。 [深緋] ダイエット薬の臨床データをめぐる話なんですけど、ダイエット薬というの    は、今どきの話題ですよね。主人公がちょっとおなかの出具合を気にしだした    ふつうの中年男性というのも親しみがもてました。ただ、「ふつうの〜」とい    う設定なら、個人的にはもう少しかっこ悪さを出してほしかったかも。それに    「法に触れなければ何でも運んじゃいます」っていう仕事はふつうじゃない気    がします。それと自宅で音楽を聴きながら、エーゲ海の夕日を眺める冷酷非情    の殺し屋はインパクトがありましたね。シリーズ化されるということなので、    次が楽しみです。 [青丹] ふつうでない仕事をしている「ふつうの中年男性」が活躍するのって、ちょ    っと面白そう。シリーズ化もされるということなので、興味がわいてきました。 [青丹] では5位『弁護士は奇策で勝負する』です。 [浅黄] 5位は語れるぞ。 [照柿] はい、これはもうサイコーでした。主人公が弁護士なんですけど、これが減    らず口というか、とにかくおちゃらけたことばかり言ってるんですよ。 [浅黄] 口八丁なんですよね。 [照柿] でも優秀なんですよね。 [梅染] ズッコケ系と見えて、実はできるヤツって感じ? [浅黄] いいかげんそうで、実はできるヤツって感じかな。 [梅染] なるほど。 [浅黄] 言葉遊びみたいな会話のノリが楽しいし、脇役もいいんですよね。 [照柿] そうなんです。脇を固めるキャラクターもクセ者ぞろいで、元弁護士兼元検    事のランドロマットの店長とか。あと、主人公の父親は著名な検事だったんで    すけど、自分が昔担当した事件に不備があったので、再審を請求してみろと息    子に薦めるんですが、その直後に亡くなるんです。父と子の関係もまたほろっ    とくるんですよ。 [浅黄] 全部現在形で訳してありましたよね。あの訳がすごいなあと思って。 [照柿] ユーモアもすっごく自然でしたよね! [浅黄] あれだけおもしろい小説に仕上がったのは、絶対に訳がよかったからですよ    ね。 [青丹] えっとじゃあ、4位『快楽通りの悪魔』です。 [照柿] これもよかったですー。 [梅染] 『快楽通り〜』読んだけど、よーわからんかった。南部系は、どうもよーわ    からんのです。わからなかったわたしに、よかったところを語ってください。 [照柿] まだ赤線地帯が残っている頃のニューオーリンズが舞台で、主人公のクレオ    ールの探偵が娼婦連続殺人事件をしらべるんです。 [淡香] これだけでも濃厚な雰囲気が漂ってきそうですね。 [照柿] で、その主人公の親友というのが、バディ・ボールデンというジャズの創始    者とされている人物なのです。 [青丹] うん、設定は好きだな。 [梅染] あ、主人公と親友のからみがよかったのは思いだした。 [照柿] 正統派の探偵ものの雰囲気もあって、こういうのが好きな人にはおすすめで    す。 [青丹] はい、これも来年に読むことにします。 [淡香] 好きな設定です。南部系、好みかも? [梅染] みなさん、わたしの否定的意見は無視してください。南部の空気が肌に合わ    ないだけなんで。 [青丹] 梅染さんはやっぱり東部ですよね? [梅染] そうなんです。もう「東部」というだけでシード権。ねっとりした空気が伝    わってきそうなのが苦手なのかも。 [照柿] そうですねー。「ねっとり」とか「じっとり」とか、とにかく空気が濃ゆい    感じ。人種差別とか露骨ですし、苦手な人はだめかもしれません。 [青丹] では3位の『荊の城』です。 [浅黄] たぶん、淡香さんが語ってくださると思います。 [梅染] お願いします。 [淡香] うう、どう語ろうかと考え中……。ミステリじゃないと言われたら反論でき    ないのは確かです。物語を読む楽しさを堪能させてくれましたが、ねっとり度    が足りないのがちょっと不満でした。 [照柿] でもこっちのほうが『半身』よりミステリしてるという意見もありましたが。 [青丹] はい、ミステリしてます。 [淡香] ディケンズのよく使う手だとは思います。 [梅染] もっとずっぷりキャラを描いてくれたら、もっとのめりこめたかも。 [淡香] キャラよりお話の展開に重点を置いているのでしょう。 [青丹] それでは2位『魔術師』です。 [梅染] これ、おもしろかった。魔術師の犯人なんて、うまい設定を思いついたな、    と。 [青丹] わたし的には、リンカーン・ライム・シリーズでいちばんよかったです。 [浅黄] お正月に読みます、楽しみ、楽しみ。で、 どんな事件なんですか? [梅染] 魔術師が、さまざまな魔術のトリックを使って連続殺人を起こすんです。 [浅黄] 魔術のトリックで殺人? [梅染] つまり、最初から犯人はわかってて、それをライムが追い詰めるというスト    ーリー。 [浅黄] 刑事コロンボ風ですね。 [梅染] 手品みたいなちっちゃいトリックじゃなくて、イリュージョンサイズ。 [照柿] おお、そんなにスケールがでかいんですね。 [梅染] ディーヴァーだから「どんでん返しがあるぞあるぞ」と思って読むんだけど、    それでもやっぱり驚いた。 [照柿] うわー、それは読まなきゃ。 [梅染] ストーリーに勢いがあるから、ついのめりこんでどんでん返しの覚悟を忘れ    ちゃうんですよ。イリュージョンの裏話みたいのも、おもしろかったです。 [淡香] ディーヴァーは他に読んでいませんが、この本から読んでも大丈夫でしょう    か? [照柿] リンカーン・ライムのシリーズは、できれば最初からの方がいいかも。ライ    ムとアメリアの出会いがありますし。 [青丹] それでは時間がおしてるので(この時点で2時間が経過)、1位に行ってい    いですか? お待たせしました『ダ・ヴィンチ・コード』。 いかがですか? [梅染] これは、映画になるために生まれてきたような作品でしたね。あとから考え    れば無理な設定がいろいろあるんだけど、やっぱ勢いで読ませちゃいますよね。 [紅藤] 『ダ・ヴィンチ〜』は、あまりぐちゃぐちゃ言わずに楽しむ本だと思う。 [梅染] 読んでるときは、すっごく楽しかったから許す。 [照柿] 細かい間違いもけっこうあったようですが……。 [梅染] 間違いと言うより、複数の説のひとつを、さも唯一のもののように書いてる    ところに憤慨する人がいるんだと思う。 [照柿] まあこれは、「あー、おもしろかった」で終わる、典型的なハリウッド映画    的作品でしたね。 [浅黄] 今年は『ダンテ・クラブ』と『フランチェスコの暗号』もありましたね。 [梅染] 両方読みました。 [青丹] どうでした? [紅藤] 『ダンテ・クラブ』はけっこう好き。 [梅染] 『ダンテ〜』はまじめな正統派という感じ。 [浅黄] フランチェスコって印象に残りますよね。 [梅染] で、『フランチェスコ〜』は青春もの。これはすごく好きだった。    ブラウンのは次が出るでしょ? [照柿] ブラウンの次の翻訳は、スタンド・アローンの "DECEPTION POINT" だそう    です。 [青丹] じゃあ、そろそろおひらきということで……。結局今年も3時間か。 [紅藤] あ、来年の抱負というか、そういうのは? [青丹] お願いします。 [鴇羽] ペレケーノスを読む! [梅染] 魂を揺さぶる作品に出会いたいです。 [淡香] 新刊、定番とりまぜて読みまくります! [紅藤] かっこいいハードボイルドを中心に読んでいきたいです。あと、未訳のトホ    ホなミステリを探したい。 [照柿] トホホなミステリ、いいですねー。 [鴇羽] トホホなとは? [紅藤] 間抜けな悪党の話。 [浅黄] 原書を集中して読みたいです。 [照柿] 今年はリーガルものを攻めたいと思います。 [青丹] ランキンと『弁護士は〜』は絶対に読む! ペレケーノスは来年1年の課題    ですね。 [青丹] それではみなさま、ありがとうございました。 =- PR -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=             ☆★「月刊児童文学翻訳」☆★  インタビュー、最新情報、レビューなど、児童文学翻訳に関する記事が満載の情報 誌。詳細&購読申し込みはこちらから(↓)。                   http://www.yamaneko.org/mgzn/index.htm 毎月15日配信(1月と8月は休刊)。申し込み手続きは前日までにおすませください。 =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- PR -= ---------------------------------------------------------------------------- ■編集後記■  今年も新年号は、フーダニット翻訳倶楽部のベスト10をお届けします。2004年もさ まざまなミステリと出会いました。さてさて2005年はいったいどんなミステリと出会 えるのでしょう。いまからワクワクしています。             (か) ********************************************************************  海外ミステリ通信 第41号 2005年1月号  発 行:フーダニット翻訳倶楽部  発行人:きのこ (フーダニット翻訳倶楽部 会長)  編集人:かげやまみほ  企 画:板村英樹、片山奈緒美、唐澤涼子、崎浜祐子、佐藤枝美子、      清野 泉、中島由美、中西和美、花田美也子、松本依子、      三浦真司、森まり、柳田有里、矢野真弓、山田亜樹子、      山本さやか  協 力:出版翻訳ネットワーク 小野仙内      西洋冒険譚翻訳倶楽部、みもざ翻訳館  本メルマガへのご意見・ご感想、及びフーダニット翻訳倶楽部の連絡先   e-mail:mwmag@litrans.net   掲示板:http://www.litrans.jp/c-board/c-board.cgi?id=15  配信申し込み・解除/バックナンバー:   http://www.litrans.net/whodunit/mag/  ■無断複製・転載を固く禁じます。(C) 2005 Whodunit Honyaku Club ********************************************************************