【Q】翻訳の道に進まれたきっかけをお聞かせください。
【A】もともと本が好きで、少女時代から外国文学に親しんでいましたが、最初から
翻訳家だけをめざしていたわけではありません。ひとりでできる仕事をしたいと思っ
ていて、その選択肢のひとつが翻訳でした。ある翻訳家のかたの下訳をしたりして経
験を積むうちに、原書房から『テロリズム』の仕事をいただくことができました。苦
労はいろいろしたのでしょうが、記憶に残っている苦労は英文に苦しめられたことく
らい。それはいまも変わりませんが。
【Q】『テロリズム』、『細菌戦争の世紀』と、硬い感じのノンフィクションを続け
て訳されていますが、こういったテーマに関心がおありだったのですか?
【A】軍事ものの下訳が多かった関係で、たまたまいただいた仕事なんですよ。自分
では単なる偶然と思っていましたが、ご質問をいただいてあらためて考えてみると、
学生時代から国際関係には興味があり、この方面の本をずいぶん読んでいました。冒
険ものに親しんでいたこともあり、楽しくやれた仕事です。
【Q】偶然とはいえ、2冊ともタイムリーな内容ですね。
【A】はじめての訳書『テロリズム』は、テロリズムの歴史をていねいにまとめたも
ので、いまなぜ宗教テロなのかという疑問に答えてくれます。また、『細菌戦争の世
紀』は、生物兵器に関する知識だけでなく、それを発展させ使用してきた国々の内情
などにも踏み込んだ内容になっています。いま大問題になっている炭疽菌についても、
くわしいことがわかります。見えない、聞こえないテロについて、警鐘を鳴らす書で
もあります。
【Q】アンソロジー『密室殺人コレクション』で、本格ミステリを訳されていますが。
【A】ある仕事を通じて知り合った編集者と、本格ミステリのことで話がはずんだの
がきっかけで、あの中の一編を訳すことになりました。
【Q】ミステリもそうとうお好きなんですね。
【A】ええ。海外のミステリ作家でいま好きなのは、ドロシー・L・セイヤーズ、エ
ドマンド・クリスピン、それにピーター・ラヴゼイです。ミステリの中でも、謎解き
以外のどうでもいいことが、あれやこれやと書かれているものが好きなんですよ。こ
の3人の小説はみな、そのどうでもいいドタバタの部分がおもしろくて。ほかには、
リンゼイ・デイヴィスやロバート・ファン・フーリックも好きです。時代や場所など
の舞台設定が気に入っています。
【Q】今後はどのような本を訳していきたいですか?
【A】いちばんやりたい分野は、冒険もの、軍事もの、国際情勢に関するものですが、
フィクション、ノンフィクションという枠にとらわれず、興味のあるジャンルには積
極的にチャレンジしていくつもりです。例をあげるなら、自然科学、スポーツ、歴史
関係などでしょうか。もちろんミステリや一般の小説にも興味がありますよ。英米版
の平家物語といった感じのスケールの大きな小説なんか、いいですね。とにかく、い
まはなんでもやってみたいんです。