■若手翻訳家インタビュー ―― 島村浩子さん
 1回目の今月は、ハヤカワ・ミステリ文庫の話題作『庭に孔雀、裏には死体』を訳 された島村浩子さんにお話をうかがいます。
《島村浩子さん》1965年生まれ。東京都出身。津田塾大学学芸学部英文学科卒業後、(財)日本GIF研究財団に勤務。デビュー作は98年『ダイアナ&ドディ 愛の日々』(日本文芸社)。


『庭に孔雀、裏には死体』
ドナ・アンドリューズ
©早川書房
表紙の画像は、出版社の
許可を得て掲載しています。
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『野鳥の会、死体の怪』
ドナ・アンドリューズ
©早川書房
表紙の画像は、出版社の
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【Q】翻訳に興味をもたれたのは、どういったことがきっかけですか?
【A】子供の頃からC・S・ルイスの『ナルニア国ものがたり』が大好きでした。大
学にはルイスの他作品を訳している講師がいらして、その方の翻訳演習の授業があっ
たんです。その頃は翻訳者になりたいとはまったく思っていませんでしたが、「もし
かしたらルイスの話が聞けるのではないか」という気持で受講しました。結局その機
会には恵まれませんでしたけれど、翻訳演習の授業そのものは楽しかった。翻訳しよ
うと思って原文を読むと、こんなにも作品のなかに入っていけるんだ、と感動したの
をおぼえています。社会人になってしばらくすると、やっぱり翻訳を仕事にできたら
いいなと思いはじめました。それで翻訳学校に通ったり、翻訳奨励賞に応募したりし
て勉強していたんです。その後ある翻訳家の方の勉強会に入れていただくことができ、
リーディングなどを通して仕事への道筋をつけていただきました。

【Q】『ダイアナ&ドディ 愛の日々』はそのタイトルが記憶に残っている読者も多
いと思いますが、あれは島村さんのデビュー作だったのですね。
【A】はい。残念ながら絶版ですが、ダイアナ元英国皇太子妃と一緒に亡くなったド
ディ・アルファイド氏の執事が、ふたりのロマンスについて語った本です。緊急出版
だったので、納期がきつかったです。

【Q】『庭に孔雀、裏には死体』(原題 "Murder with Peacocks"、ドナ・アンドリュ
ーズ著、ハヤカワ・ミステリ文庫)はマリス・ドメスティック・コンテスト最優秀作、
アガサ賞、アンソニー賞などを受賞した傑作ですね。「21世紀のクレイグ・ライス」
とも評される、この実力派新人の作品を訳されていかがでしたか?
【A】この本はミステリ初仕事だったので、実をいうと最初は肩に力がはいってしま
いました。でもとにかく笑える作品で、原文を読んでいると自然に顔がにやけていた
りするんですね。ですから楽しみながら訳せましたが、それと同時に悪ノリはしない
よう気をつけました。ただ欧米の作品にはありがちなことのようですが、日付や数字、
細かい設定が前後で食い違っているところがあって、そこは編集の方と相談して目立
たないよう工夫しました。本書は謎解きあり、ユーモアあり、ロマンスありの1冊で
何度もおいしい傑作です。とくに一度に3つの結婚式のお膳立てを引き受けることに
なった主人公、メグの奮闘ぶりがおかしくて読ませます。読者の方にも自分と同じよ
うに、ぜひ楽しんで読んでいただけたらなあと思います。

【Q】今後はどのような本を訳されたいですか?
【A】『庭に孔雀〜』を訳してみて、あらためてユーモア・ミステリの面白さがわか
った気がするので、今後もこのジャンルは続けていきたいですね。あとポーラ・ゴズ
リングやフェイ・ケラーマンなども好きです。登場人物の心の動きや人間関係が丹念
に描き込まれていて、ロマンスもたんなるミステリの添えもので終わっていない――
そんな所がたまらなく好きなんです。ですからこういうタイプのものも訳してみたい
と思います。来年前半には『庭に孔雀〜』の続編、メグ・ラングスロー・シリーズの
2作目が出ます。今度はメイン州沖の孤島でメグがまた殺人事件に遭遇するというも
の。彼女の奇人変人一家も再度登場します。1作目を気に入ってくださった方は、き
っと楽しんでいただけると思いますよ。
                           
(取材・構成 宇野百合枝)
(2001年11月号)
 
■主な訳書紹介■

『庭に孔雀裏には死体』ドナ・アンドリューズ著(早川書房)
『野鳥の会死体の会』ドナ・アンドリューズ著(早川書房)
『思い込みを捨てろ、人生は必ず変わる―自分を変える発想転換法』
  ウォーレン・バーランド著(主婦の友社)
『仕事力―月曜の朝が待ちどおしくなる4つのステップ』
  ダイアン・トレーシー著(アーティストハウス・パブリッシャーズ)
『油絵のなぞ―ボックスカー・チルドレン〈24〉』ガートルード・ウォーナー著(日向書房)

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