フーダニット・ベスト10
2002年新刊翻訳書部門


・フーダニット翻訳倶楽部の会員投票により決定された、2002年の新刊翻訳書ベスト10作品です。
・内容紹介は、すべてフーダニット翻訳倶楽部のメンバーが執筆したものです。
・このベスト10について語った会員座談会を、こちらに掲載しています。
  →『海外ミステリ通信』2003年1月号
・このページに使用した表紙画像はすべて、各出版社、アマゾン・ジャパンの許可を得て掲載しています。

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第1位  69点
雨に祈りを

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デニス・レヘイン著
鎌田三平訳
角川文庫
◆元依頼人の女性が謎の自殺を遂げる。納得のいかないパトリックがその原因を探っていくと――心の闇を執拗なまでに描くレヘインのシリーズ第5作。

■ 投票者コメント ■

● すみません、いつもレヘインを選んで。でも好きなんだもん。
● じっくりと時間をかけて味わうことができたということもあり、やっぱりこれになってしまいました。
● やっぱりよかったです〜。ブッバ大活躍。アンジーかわいすぎ。パトリックへらず口絶好調。でもこれからしばらく3人に会えないと思うと、読んでて泣きそうになりました。くすん。
● 全貌が見えるとつらい。シリーズのどれもがそうだけど。
● どうもパトリックとアンジーの関係の行方についつい目が行ってしまいまして、はい。
● 探偵が聞き込みの先々で出会う人々の描写が秀逸。この世に「悪人」なんていないじゃない。みんな救いの雨を待っている――と珍しくしんみり。
● ブッバ大活躍に満足。元気なアンジーとパトリックの姿に安堵。
● やっぱり場面場面がとても素敵。はう。もし他のシリーズがはじまるなら、ブッバだけといわず、アンジーもパトリックも登場してほしい。
● これでシリーズは終わりと言われても納得できそうな終わりだったのだが、ファンとしてはもう少し楽しみたい。ああ、でもブッバが……。ラストがもうちょっと違ってたら、もっと上の順位にしたと思う。
● ブッバのかっこよさが光りますが、ひとりの女性の死に責任を感じて、黙々と調査するパトリックもナイス。アンジーの髪型については触れないように(笑)。

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第2位  54点
さらば、愛しき鉤爪

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エリック・ガルシア著
酒井昭伸訳
ヴィレッジブックス
◆おれはヒトの扮装をまとった恐竜、しがない私立探偵だ。友人の死後、暮らしはすさむ一方だが、そこへ仕事が舞い込んだ。抱腹絶倒のハードボイルド!

■ 投票者コメント ■

● ああ、笑わせてもらいました。インパクトありました。むっちゃ好きです、こういうの。
● イロモノが好きなので(^^;)。堪能させてもらいました。
● 問答無用です。面白かったぞー!!
● 上位3作はインパクトの強かった順で。なかでもやっぱりこれが一番になってしまいました。だって恐竜だし……。
● イロモノですが(^^;)、アイデアの勝利ですね。
● 奇想天外な設定にばかり気をとられそうだが、ストーリーはいたってオーソドックスなハードボイルド。ハーブのにおいが目に染みるぜ、なんてね(^^;)。次の作品の翻訳が待ち遠しくてたまらない。

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第3位  47点
家蠅とカナリア
  
ヘレン・マクロイ著
深町眞理子訳
創元推理文庫
◆公演初日、舞台上で殺人が。容疑者は3人の役者。鍵は家蠅とカナリア? 精神分析学者ベイジルの推理はいかに――名手マクロイの本格傑作、待望の完訳。

■ 投票者コメント ■

● う〜ん、黄金本格、堪能しました。人間心理を適用した謎解きは、今読むからかえって新鮮に感じられるのかも。ニューヨークの街や劇場風景の描写の上手さにも感嘆。久しぶりに1頁1頁愉しみながら読めた佳品。
● 「比類なき職人芸」をとても楽しめた。
● うわー、わくわくしますね。かけこみで読んだ本ですが、噂にたがわぬおもしろさでした。
● わたしはべつに古典ファン、本格ファンではないので、この手のものはそうとうおもしろくないとベスト10には入れません。ほかにもいろいろ読んだけど、これは格段におもしろかった。
● 物語を堪能しました。
● 10年以上前から噂の完訳、遂に上梓なる。<遅い、巧い、格調高い>。皆んなが待ってた深町訳。これぞ、黄金期本格推理。これぞ、名探偵。

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第4位  45点
飛蝗の農場

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ジェレミー・ドロンフィールド著
越前敏弥訳
創元推理文庫
◆どこからともなく現れて宿を求めた男は、ある事故を境に記憶を失う。農場を営む女との生活、脈絡のない幾つもの挿話。読者を混乱から驚嘆へと導く問題作。

■ 投票者コメント ■

● 徹夜本。
● この不思議さがたまりません。
● 余人に真似のできないインパクトの強烈さは文句なく今年ナンバーワン。個人的思い入れ度でも一番。
● 何度思い返しても変わった作品で、ぐいぐい引き込まれて途中で読むのをやめられないおもしろさでした。終盤の雪崩のような勢いったら。
● おかげさまで思い出深い一作になりました。ほんで最後はどうなんだろう? またわからなくなってきました。てへ。

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第5位  34点
わが名はレッド
  
シェイマス・スミス著
鈴木恵訳
ハヤカワ・ミステリ文庫
◆赤ん坊を奪い、名前を与えて孤児院へ置き去りにしたレッド。20年後、その秘めたる計画が動きだす。『Mr.クイン』の作者が再び放った非情な犯罪小説。

■ 投票者コメント ■

● はじめは一発屋かと思っていたんですけど。(^^;) この人、すごすぎ。
● これはまた手の込んだ……!
● この不条理の微妙さに恐れ入りました。そうそう、世の中不条理だらけ。
● 気迫を感じる本です。とても強烈でした。
● 最後の落ちにやられちゃいました。こういうのに弱いんです、わたし。ノワールなのに泣きそうになっちゃったよー。
● 今はやりのノワールと言ってしまえばそれまでなのだが、二人の悪党が別々の目的を持って登場してくるところがひと味違う。次はどんな作品なのだろう、気になるところだ。
● 笑いの要素が減ったぶん、前作より凄味を増した。最後に待っていたものに、ただ慄然。

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第6位  25点
唇を閉ざせ

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ハーラン・コーベン著
佐藤耕士訳
講談社文庫
◆死んだはずの妻が生きている!? 最愛の人を探しもとめる若き医師の周囲に、いつしか謎の殺し屋の影が。コーベンのシリーズ外ノンストップ・サスペンス。

■ 投票者コメント ■

● マイロン・シリーズは未読なのですが、この1作でコーベンは読み手をひきつける力のある作家だと認識しました。うまい!
● これは読まないと年を越せません。
● 文庫本で上・下巻に分かれて各990円。高いだのなんだのと文句をつけたけれど、それだけの価値はあった。途中引っかかる言葉があっちこっち出てきて??と思っていたら、最後に種明かしされて、そういうことだったのかと納得。こんな終わり方でいいのかとも思うのだが、今年一番わくわくしながら読めたので良しとしよう。

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第7位  23点
ウイニング・ラン

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ハーラン・コーベン著
中津悠訳
ハヤカワ・ミステリ文庫
◆波乱&抗弁がキーワードのマイロンシリーズ第7作。「あの子は、あなたの息子よ」ワーオ! マイロンが父親だって? ひねった結末も、パアフェクト!

■ 投票者コメント ■

● やだなー、決まってるじゃないですか、今年の1番はもちろんこれです。笑いとほろ苦さと複雑な筋立て。1冊だけじゃなくて、シリーズを通して読めばさらに浸ることができます。
● この作品でマイロンを堪能したので、次はぜひウィンを活躍させてほしい。 
● なんてったって好きなもんですからー。主人公の父親に泣かされ、その他の父親にも泣かされました。この泣かせ上手。

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第8位  22点
ボトムズ

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ジョー・R・ランズデール著
大槻寿美枝訳
早川書房
◆1933年の夏、11歳の少年ハリーが迷い込んだ森で発見したものは――。テキサス東部の自然を背景に、独特の筆致で描くサザンゴシックの傑作。

■ 投票者コメント ■

● 途中から犯人はだいたい想像がつくんですが、それでも「ボトムズ」を中心としたディープな自然や人間社会の描写にどっぷり浸って読みふけってしまいました。幼いきょうだいの体験は過酷なものでしたが、おばあちゃんの存在が読んでてとても救いとなりました。
● これって、今年の本だったのね。雰囲気が大好きです。

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第9位  20点
第四の扉
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ポール・アルテ著
平岡敦訳
ハヤカワ・ミステリ
◆イギリス小村の幽霊屋敷。降霊会の最中に起きた密室の殺人。怪奇趣味と不可能犯罪が織りなす本格の醍醐味。フランスのカー、アルテ期待のデビュー作。

■ 投票者コメント ■

● 待望久し!カーになりたいフランス人作家のデビュー作。オカルト&不可能犯罪テンコ盛り。アルテ、すげーーっ!
● フランスにいまどき、こんな本格ものを書く人がいたの?!と驚きました。密室トリックに最後のひねり、前評判通り面白かったです。30作くらい書いてるみたいですが、全部密室ものというのも凄い。早く次作が読みたいわぁ。
● おもしろかったのですが、軽すぎ。もう少し重厚な雰囲気にしてほしかった。

©晶文社
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第9位  20点
壜の中の手記
  
ジェラルド・カーシュ著
西崎憲 他訳
晶文社
◆今シーズンのお薦めです。誰も行ったことがない夢まぼろしへの旅はいかがでしょう? 行先は南米のジャングル、絶海の孤島、ブライトン等。10泊11日です。

■ 投票者コメント ■

● 才能のある作家がみせてくれる不思議な世界。
● こういうのもミステリって言っていいのだろうか?と思いつつ。
● 鬼才復活。趣味の出版に、若者はファーストインパクト、好事家は随喜の涙。「奇想天外」とは、この作家のためにある言葉。

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第9位  20点
わしの息子はろくでなし

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ジャネット・イヴァノヴィッチ著
細美遙子訳
扶桑社ミステリー
◆今回はなんとレンジャーがお尋ね者に! 前作から悶々とした日々を過ごしていたかたにはお待ちかねのシリーズ6作目も絶好調です。

■ 投票者コメント ■

● だって好きなんだもん。(って、毎年書いているような気が……)
● シリアスな作品の合間にイヴァノヴィッチを1冊。はずせません。
● やはりこれははずせない。唯一の不満は、レンジャーがかっこよすぎてモレリが霞んじゃっていること。いや、レンジャーも好きなんですけど。
● 本筋はろくすっぽ覚えてないけど、ステファニーと男二人のその後を、ファンとしては時にはツッコミを入れながら、温かく見守っていきたいと思う。ステファニーを始めとして、登場人物元気いっぱいだったしね。スタートレック好きのわたしとしては、トレック・パーティーのシーンを思いっきり楽しませてもらった。
● 毎年のお楽しみ。どの本のあとに読もうかと思案しながら。

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