鈴木出版
新刊情報

2009年11月刊行

みんながそろう日:表紙  みんながそろう日
 モロッコの風のなかで



ヨーケ・ファン・レーウェン
マリカ・ブライン
野坂悦子 訳



ISBN 978-4-7902-3225-4
定価 1600円+税


 本書は物語に登場する家族のモデルのひとり、マリカ・ブラインを共著者として、ヨーケ・ファン・レーウェンが描いたものです。

 1969年、カサブランカ。モロッコでは、学生や市民による抗議活動がさかんになっていました。
 ジマのお兄さんもその活動をしていたひとり。
 ある日、いつも夕食には帰ってくるお兄さんが戻りません。待っても待っても――。
 季節がふたつ過ぎ、お兄さんが牢獄に入っていることを知る家族。
 けれど、決して自由には会えず、兄さんは牢獄の中にいても意志を貫く。
 そして、もうひとりのお兄さんも……。

 物語として昇華されたなかに、人間の尊厳を問うメッセージ性だけではなく、ふだんの日常生活の楽しみや悲しみも描かれ、読みごたえのある作品となっている。


ヨーケ・ファン・レーウェン Joke van Leeuwen
1952年、オランダ、ハーグ生まれ。現在はベルギーのアントウェルペンに在住。作家として知られる。『デージェだっていちにんまえ』(福音館書店)で、オランダ・金の石筆賞、ドイツ児童文学賞を受け、本書で1999年にワウテルチェ・ピーテルセ賞を受けた。2000年、全業績に対して、青少年文学のための国家賞ともいわれるテオ・タイセン賞を受賞。社会との関わりを大切に、幅広い芸術活動をしている。
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マリカ・ブライン Malika Blain
1965年、モロッコ、カサブランカ生まれ。コンピューター技術を学び、今はフランス のトゥールーズに住む。本書は、マリカの強い希望によって、ファン・レーウェンの手で書き下ろされた。 主人公の「ジマ」はマリカがモデルになっている。作品に登場するマリカの兄、「アムラ」と「メディ」も、 名前こそちがうが実在する人物で、現在はモロッコに住み、幸せに暮らしているという。

野坂悦子 のざか・えつこ
東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。オランダ語を中心に児童書の翻訳を手がけるだけでなく、紙芝居文化の会や日本国際児童図書評議会(JBBY)で児童文化の発展のために国際的な活動を行っている。主な訳書に『だっこのえほん』(フレーベル館)、『第八森の子どもたち』(福音館書店)、『ちいさなへいたい』(朔北社)、『はばたけ! ザーラ』(鈴木出版)など多数。
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平澤朋子 ひらさわ・ともこ
東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。現在、フリーのイラストレーターとして活躍中。児童書の挿し絵や装画、CDジャケットなどを幅広く手がける。挿し絵、表紙を手がけた主な児童書に、『緑の模様画』『ベラスノアとキックオフ!』(共に福音館書店)、『わたしのしゅうぜん横町』(ゴブリン書房)などがある。
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2009年10月刊行

リキシャ★ガール:表紙  リキシャ★ガール

ミタリ・パーキンス
ジェイミー・ホーガン 絵
永瀬比奈 訳


ISBN 978-4-7902-3224-7
定価 1400円+税


 主人公の少女ナイマは、バングラデシュの伝統的絵画アルポナを描いたら村では右に出るものがいないといわれています。
 祝日には家の前の敷石や小道にアルポナを描きます。国じゅうでベンガル語の美しさを祝う「国際母語の日」に一番上手にアルポナを描いた女の子には賞が贈られることになっているそうです。
 ナイマは妹、お母さん、お父さんの4人家族です。お父さんはリキシャにお客さんを乗せて運ぶ仕事をしています。新しいリキシャを買い、もっとお客さんを増やそうしているところですが、たくさんの借金をしてリキシャを買ったため、お父さんは日中ろくに休むことなく仕事をしなくてはいけませんでした。ナイマは思います。私が男の子だったらお父さんのかわりにリキシャをひけるのに、と。しかし女の子がそんなことをすると家族に恥をかかせることになるのです、村はそういうところでした。ナイマはお金にならない絵を描くことがつらくなっていきます……。

 113ページの短いお話です。余白もたっぷりとってあるページはとても読みやすく、挿絵も物語の雰囲気をよく伝えています。ナルマがお父さんを助けたいばかりにとる行動はハラハラするもので、読んでいて思わず目をつむってしまったほど。けれど、行動を起こすことによって、いままでとは知らない世界、人との出会いもあるのです。物語にはバングラデシュの女性の希望の光をもたらしたマイクロファイナンスで自立しようとしている女性が登場し、ナイマに影響を与えます。マイクロファイナンス、2006年グラミン銀行のムハマド・ユヌス総裁にノーベル平和賞が贈られて注目を集めたことを覚えているでしょうか。「小口の融資をおこない、それを元にしてお金をかせぐための基金です」と作者あとがきで説明しています。

ミタリ・パーキンス Mitali Perkins
アメリカ合衆国の児童文学作家。インド、コルカタに生まれ、アメリカ合衆国に、両親、姉妹と共に移住。幼いころから、バングラデシュ、カメルーン、ガーナ、インド、メキシコ、タイ、イギリス、オーストリアなど世界のあちこちに住んだ経験から、異文化への架け橋となる児童書の執筆をつづけている。
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永瀬比奈 ながせ・ひな
上智大学外国語学部英語学科卒業。航空会社勤務の後、アメリカ合衆国テキサス州に住む。帰国後、子どものころから好きだった児童書の翻訳に精力的にとりくむ。主な訳書に、『シャングリラをあとにして』(徳間書店)、『しろいふゆ』(大日本絵画)、『ペネロピ』、『ホリー・クロースの冒険』(共に早川書房)がある。

ジェイミー・ホーガン Jamie Hogan
アメリカ合衆国のイラストレーター。ニューハンプシャー州のホワイトマウンテンで育つ。木炭、パステル、コラージュなどを駆使した独自の画風で、新聞や雑誌にもイラストを発表し活躍中。本書は、はじめて手がけた児童書のさし絵で、各方面から高い評価を得ている。
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2009年9月刊行

ダンスのすきなジョセフィーヌ:表紙  ダンスのすきなジョセフィーヌ

ジャッキー・フレンチ 文
ブルース・ホワットリー 絵
三原泉 訳


ISBN 978-4-7902-5202-3
定価 1600円+税

ジョセフィーヌはカンガルーです。
ダンスが大好きで、いつも楽しくおどっていました。
ある日、住んでいる町にバレエの公演がおこんわれることになり、練習をのぞいてみました。これがバレエ!
さっそくマネしはじめます。
そんな時、ケガで出られなくなったダンサーがひとりでました。ジョセフィーヌは果敢に代役を希望して……。

弟になんどもカンガルーはダンスするんじゃなくてピョンピョンってとぶんだよといくらいわれても、ジョセフィーヌは好きなものは好き!
そして、好きなことをしているのってまわりも笑顔にしてくれるんですよね。
ページをくるごとに、なんだかうれしくなってきます。
あなたの好きなことはなあに? わたしの好きなものはなんだったかしら?


ジャッキー・フレンチ Jackie French
オーストラリアの児童文学作家。シドニー生まれ。ニューサウスウェールズ州で、ワラビーやウォンバット、いたずら好きのコトドリ、オオトカゲたちに囲まれて暮らしている。過去10年間に出版した本は100冊を超え、10カ国以上で翻訳されている。『ヒットラーのむすめ』(鈴木出版)は、イギリスでの受賞を含め、多くの賞に輝いた。

ブルース・ホワットリー Bruce Whatley
イギリス生まれの作家・イラストレーター。子どものときにオーストラリアに移住し、現在はニューサウスウェールズ州に住んでいる。ユーモアと想像力にあふれたホワットリーの作品は、たくさんの読者に愛されている。

三原泉 (みはら・いずみ)
1963年宮崎県生まれ。東京大学文学部卒業。訳書に『モグとうさポン』『のら犬ウィリー』(あすなろ書房)『ソフィーとガッシーいつもいっしょに』(BL出版)『アリクイのアーサー』(のら書房)『てぶくろがいっぱい』『ぞうのオリバー』(偕成社)などがある。


2009年2月刊行

きらきらピンク:表紙  きらきらピンク

ナン・グレゴリー 作
リュック・メランソン 絵
灰島かり 訳


ISBN 978-4-7902-5195-8
定価 1600円+税

 表紙にちりばめられたピンク!
 見返しもピンク!
 これは、きっとピンクが好きな少女の甘い話かな、と想像すると、いい意味で裏切られます。

 主人公の少女、ビビはもちろんピンク大好き。ピンクのきらきらしたものがとっても欲しくてしかたないのです。
 けれど、ビビは好きなものが好きなだけ手に入る環境ではありません。
 ビビが「ピンクガールズ」とひそかによんでいる同級生の仲良し3人娘はピンク一色です。うらやましくてたまりませんが、ビビにはどうすることもできません。
 ある日、ショーウィンドウに飾られたすてきにかわいいピンクのお人形をみつけました。
 ビビはそれを手にいれるために、さまざまな工夫をこらします――。

 子どもの物欲は時にとても強いものです。しかしながら、欲しい物を手に入れるのにお金が必要であれば、それは親の経済力がダイレクトに響いてくるのも現実。そんな現実との折り合いをつけるものは何でしょうか。

 いろんなピンク色がページごとにでてきます。ビビの気持ちを反映させながら、カラフルな色がどんな変化をもちながら、ラストを見せてくれると思いますか?
 ぜひ、手にとってみてみてください。


ナン・グレゴリー Nan Gregory
ブリティッシュ・コロンビア大学卒。演劇学専攻。バンクーバー在住。1984年からプロのストーリーテラーとして幅広く活躍中。その後、子どもの本の執筆も始める。処女作『スマッジがいるから』(あかね書房)でシーラ・A・イーゴフ児童文学賞、ミスター・クリスティーズ・アワードを『Wild Girl and Gran』でカナダ図書館協会賞を受賞している。

リュック・メランソン Luc Melanson
ケベック大学モントリオール校卒。グラフィックデザイン専攻。モントリオール在住。『The Grand Journey of Mr.Man』でカナダ総督文学賞受賞。他の絵本作品に『Little Kim's Doll』など多数。

灰島かり (はいじま・かり)
国際基督教大学卒。コピーライターを経て、英国のローハンプトン大学院で児童文学を学ぶ。子どもの本の翻訳、研究を行っている。著書に『絵本翻訳教室へようこそ』(研究社)など、訳書に『へそまがり昔ばなし』(評論社)『ケルトの白馬』『キャベツ姫』(共にほるぷ出版)『しゃっくり1かい1びょうかん』(福音館書店)など多数。


2008年12月刊行

☆ 丑年につき期間限定帯つき ☆

うしはどこでも「モー!」の表紙  うしはどこでも「モー!


エレン・スラスキー・ワインスティーン 作
ケネス・アンダーソン 絵
桂かい枝 訳

ISBN 978-4-7902-5193-4
定価 1400円+税

 原題は"Everywhere the Cow Says "Moo!"
 丑年の初笑いにはぜひこの絵本を!

 英語によるRAKUGOを広めている桂かい枝による、関西弁の翻訳です。
 
 同じ動物でも、国によっては、なきかたが様々なのをご存知な方も多いと思います。
 この絵本では、そんな動物たちを紹介しながら、牛でオチをつけていきます。
 こんな感じです。すこし引用しますね。 
なあ、しってる?
 イギリスの いぬは、「バウワウ バウワウ」ってなくねん。

 スペインの いぬは、「グァウ グァウ」ってなくねん。
 (中略)
 にほんの いぬは…
 そうそう 「ワンワン ワンワン」ってなくねんなあ。

 イギリス、スペイン、フランス、日本での動物のなきかた比較は、なかなかに愉快です。
 子どもたちに読んでいると、なきごえは、いつのまにかみんなで声を出してしまうほど。

 巻末には、原語表記もあります。
 楽しみながら、ちょっぴり外国語のお勉強もできる?
 でもお勉強というほど、かたくるしくありませんので、ご安心を。違う文化にふれる愉快な絵本です。
  

エレン・スラスキー・ワインスティーン (Ellen Weinstein)
医療ソーシャルワーカーとして個人で開業。これが初めての絵本。夫、子ども、4匹の犬、1匹のかめとともに、マサチューセッツのシャロンで暮らしている。

ケネス・アンダーソン (Kenneth Anderson)
スウェーデンを拠点とするイラストレーター。ストックホルム郊外の島に家族と共に暮らしている。

桂かい枝 (かつらかいし
落語家。英語による落語講演を世界12カ国77都市で300回以上行い、「Laugh&Peace(笑いと平和)」をモットーに RAKUGO を通じて世界の人々に幸せな笑いを届けている。お風呂上がりに二人の娘に絵本の読み聞かせをするのが、現在いちばんの楽しみ。神戸・六甲山の自然に囲まれて暮らしている。


2008年12月刊行

☆ 2008年コールデコット賞 オナー作品 ☆

ヘンリー・ブラウンの誕生日:表紙  ヘンリー・ブラウンの誕生日
Henry's Freedom Box

エレン・レヴァイン 作
カディール・ネルソン 絵
千葉茂樹 訳


ISBN 978-4-7902-5194-1
定価 1900円+税

ヘンリー・ブラウンは奴隷です。
奴隷には誕生日はありません。
だから、何歳なのかも自分ではわからないのです。

同じ血の通う人間なのに、歴然とした差別があります。奴隷制度がそうでした。
奴隷は、人間としてのまともな扱いをうけません。著者はしがきの言葉でいうと「テーブルや家畜、荷馬車などとおなじように」物あつかいされていたのです。

ヘンリーがまっすぐこちらを見ている表紙を開いてください。そこにヘンリーの物語があります。大判の迫力ある絵とともに、大事な忘れてはならない物語が――。


エレン・レヴァイン Ellen Levine
アメリカ合衆国生まれ。ブランダイス大学卒業後、ニューヨーク大学法学部で博士号を取得。テレビ局での勤務や移民への英語教育などを経験した後、教育と執筆活動に力を注いでいる。主な著作に、『Darkness over Denmark』、『Freedom's Children』などがある。

カディール・ネルソン Kadir Nelson
アメリカ合衆国生まれ。画家、イラストレーター。プラット美術大学卒業。多方面で活躍するかたわら、1999年からは、絵本の絵も手がけ数々の賞を受賞。主な作品、『Ellington Was Not a Street』、『Just the Two of Us』、『Mouse』、『Abe's Honest Words: The Life of ABraham Lincoln』など多数。

千葉 茂樹 ちば しげき
北海道生まれ。国際基督教大学卒業。出版社で児童書の編集に携わった後、北海道に居を移し、英米作品の翻訳家として活躍中。訳書に、「オー・ヘンリー ショートストーリー セレクション」シリーズ、『ラブ・スター・ガール』(いずれも理論社)、『たねのはなし』、『アンジェロ』(共にほるぷ出版)、『あたまにつまった石ころが』(光村教育図書)、『あの空の下で』(小峰書店)、『彼の手は語りつぐ』、『秘密の道をぬけて』(共にあすなろ書房)など多数。

2007年6月刊行

ボーイ・キルズ・マン:表紙 ボーイ・キルズ・マン

マット・ワイマン 作
長友恵子 訳

ISBN 978-4-7902-3168-4
定価 1680円(税込)

コロンビア、少年は銃をもち、引き金をひく、標的に向かって……。

 フィクションだが、語られているボーイ・キルズ・マンはコロンビアでは現実にあること。子どもでも、生きていくために(それが家族であれ自分であれ)、本来すべきでない仕事に手を染めていく。ここで物語られている厳しい“今”――。
 目の前にはいないかもしれない、けれど、確実にこの世界に生きている子どもたちの姿に思いを馳せた。銃をもつことがいけないという、しごくあたりまえの言葉を届かない世界。直線的に答えは見つからない。簡単に答えなど出ないし、解決の道のりとて険しい。それでも、この物語を通して出会ったソニーやアルベルトのことを考え続けていきたい。


【作】マット・ワイマン Matt Wyhman イギリス在住。おとなから子どもまで幅広い読者層の小説、児童文学作品の執筆するかたわら、ティーンエージャー向けの雑誌で相談コーナーを多数もち、サウジアラビア、ロシアでワーショップを開くなど、多方面にわたって活躍中。作品に、"Man or Mouse"、"Columbia Road"、"Superhuman,"XY","The Wild"、"So Below"などがある。
ホームページ(英語):http://www.mattwhyman.com/

【訳】長友恵子 ながともけいこ 北海道、美幌町生まれ。ボストン大学経営大学院修了。英米児童文学に携わり、現在児童書を中心に翻訳家として活躍中。訳書に、『中世の城日誌』(岩波書店・産経児童出版文化賞JR賞受賞)、『生命(いのち)の炎は高く』(偕成社)、『おおきな、お・お・き・いテックス』(文化出版局)、『ドラゴンだいかんげい?』、『ひとりぼっちのねこ』(共に徳間書店)などがある。

【画】ゴトウヒロシ 愛知県生まれ。グラフィックデザイナー。鈴木光司、藤堂志津子、乃南アサ、藤田宣永、石田衣良氏などの作品に挿絵、装丁画を提供するかたわら、Elle、Psycologie,WAD等欧州メディアでも活躍。また、デザイン事務所ハイ制作室を率いてアートディレクターとしても活躍中。
ホームページ:http://www.haili.com/gallery/


2005年12月刊行

シュクラーン ぼくの友だち:表紙  シュクラーン
 ぼくの友だち


 ドリット・オルガッド 作
 樋口範子 訳

 ISBN 4-7902-3162-3
 定価 1575円(税込)

 主人公ガブリエルは、アルゼンチンから移民してきた12歳の少年だ。両親が子どもたちは、ユダヤ人の多いイスラエルの地で生活することを選んだのだ。しかし、ガブリエルは友人らの輪になかなか入ることができない。それどころか、お前は「バッタだ」とののしられる。なぜ、ここに移ったのだろう。日々の生活に楽しみを見いだせないガブリエルの前に、アラブ人の少年、ハミッドと出会う。ハミッドと出会ったことで、ガブリエルは毎日が楽しくなった。おしゃべりをし、一緒に勉強をし、なにをやりたいか未来を二人で夢想した。ところが……。


著者、ドリッド・オルガッドさんは「日本の読者のみなさんへ」という文章を寄せられ、そこでこう書かれています。
「地球というこの小さな星で、たとえ民族や宗教がちがっても、子ども同士が仲よくなるのは、ほんとうはあたりまえのことですよね」

しかし「おとなたちの事情」で、仲よくなるのが難しいこともあるのです。ガブリエルとハミッドもそうでした。しかし、2人は互いを大事に思い、真の友情を交わします。その友情の絆が、大きな事件を防ぐことになったのです。

仲よくなる――このシンプルな事が難しい。それが民族同士の紛争のもたらしたものです。物語を読みながら、その難しさに頭をかかえたくなりますが、それでも人の心を動かすのもまた人なのだと、またシンプルな所に戻らせてくれるのもこの2人でした。好きな人を、友人を大事に思う。表紙の2人を見ていると、その気持ちをいつも思い出します。


【作者】ドリッド・オルガッド Dorit Orgad
1937年、ナチスが政権をとるドイツに生まれる。2歳のときに、家族とともに、現在のイスラエルに帰還。ヘブライ大学にて、経済学、社会学を学ぶ。教師、ジャーナリストをするかたわら、バル・イラン大学にて、ユダヤ哲学博士号を取得。作家として活躍。著作は50作をこえ、そのほとんどがイスラエル国内のテレビやラジオでドラマ化されている。邦訳作品に『もうひとりの息子』、『コルドバをあとにして』(共にさ・え・ら書房)がある。

【訳者】樋口範子(ひぐち のりこ)
東京都生まれ。立教女学院高校を卒業後、イスラエルに渡り、キブツ・カブリ・アボガド園で2年間働く。帰国後、山名湖畔で児童擁護施設に勤務、パン屋を経て、現在同地で喫茶店を営む。主な訳書に『六号病室のなかまたち』(ダニエラ・カルミ作/さ・え・ら書房)、『もうひとりの息子』(ドリット・オルガッド作/さ・え・ら書房)などがある。

【画家】丹地陽子(たんじ ようこ)
イラストレーター。近年は書籍カット等を中心に活躍中。主な作品に『少女探偵サミー・キーズ』シリーズ、『サーカス団長の娘』(共に集英社)、『火を喰う者たち』(河出書房新社)、『イクバルの闘い』(鈴木出版)などがある。
ホームページ http://www.tanji.jp/

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Last Modified: 2009/09/101
担当:さかな

HTML編集: 出版翻訳ネットワークやまねこ翻訳クラブ