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2009年3月刊行
★ 1960年 ニューベリー賞オナーブック ★
★ 全米ロングセラー 50年目の初邦訳 ★
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ぼくだけの山の家
My Side of the Mountain
ジーン・クレイグヘッド・ジョージ
茅野美ど里 訳
ISBN 978-4-03-726740-7
定価 本体価格1600円+税
カバー装画:男鹿和雄
本文挿絵:ジーン・クレイグヘッド・ジョージ
「森の生きものたち」絵:松原巌樹
装丁:岡本デザイン室(岡本洋平+茂谷淑恵) |
父さんがサムに話してくれた。
キャッツキル山脈に土地をもっていた曾祖父のグリブリーじいさんのことを。ひいおじいちゃんは、木を切り倒して家を建て、土地を開墾した。そこまでしたけれど、自分は船乗りになりたいことに気づいたそうだ。そして、農場は失敗に終わり、ひいおじいちゃんは海へ出た。
父さんは、息子サムに言う。
「ひいじいさんの代からグリブリーの人間は陸ぐらしにむいていないんだよ」
サムもグリブリーの人間だ。けれど、サムは家出をし、いまやキャッツキル山脈の深い森にいる。だからこう思ったのだ。
「グリブリーの人間はまったくもって陸ぐらしにむいている」と。
ニューヨーク暮らしをしていたサムは、5月のある日、全財産の40ドルをもって家出を敢行する。父さんも「いいとも、やってごらん。男の子ならいちどはやってみるべきだ」と言ってくれた。
そして、サムの森での暮らしがはじまっていく。わからないことは、山からおりて図書館で知識を得、森にもどって、その知識を現実に活かしていく。もちろん、いままで本で得た知識もフル稼働しての日々。小枝で釣り針をつくり、魚を釣る、葉っぱでボウルをつくる、くくりワナをつくってしかける、役に立つ植物をいろいろ発見し、自分の住まい、寝床もつくるのだ。
すごい、すごい! 読んでいて興奮してくる。電気も通らない、火も自分でおこすのだ。そんな生活を自ら選び、時には苦しい思いをしながらも、たくましく生活している。人恋しくなることもあり、そんな時は偶然のサプライズもおきる。一年、春、夏、秋、冬、すべての季節をはたして過ごせるのだろうかと、サムの毎日を見守るように読んだ。
便利な道具から離れての生活は、“生きる”ことにより近い。少年ひとりで暮らすと聞くと、では親は?と思うだろう。物語を読んでもらえればわかるが、サムの両親なりの見守りはある。工夫された生活、日々の狩猟による食事。すっかり料理上手になっていくサムのご馳走を味見してみたいものだ。そして、生き生きと楽しくタフに生きる少年の姿をみていると、読んでいる私も力強さをわけてもらえた。
本書をより読みやすくしているのは、巻末の絵と解説。物語にでてくる、たくさんの森の生きもの、植物について、巻末に絵と解説が添えられており、きれいな絵をみながら、より具体的にサムの生活がみえてくる。この絵を描いたのは、図鑑などで活躍されている、松原巌樹氏。ちなみに、表紙のすばらしいベイツガの木を描いたのは、ジブリで活躍されている美術監督、男鹿和雄氏。本文挿絵は作者自らの手によるもの、こちらもあたたかみのある素敵な絵だ。
【作者】ジーン・クレイグヘッド・ジョージ Jean Craighead George
1919年ワシントンDC生まれ。ペンシルバニア大を卒業後、ワシントンポスト、The White HOuse Press Corps に勤務。出産後、自然のなかで動物たちと生活するようになり、作家生活にはいる。著作は100冊以上。『狼とくらした少女ジュリー』で1973年にニューベリー賞受賞。
【訳者】茅野美ど里 ちの・みどり
1954年東京生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒。小・中学時代の3年間をアメリカ・イリノイ州ですごす。訳書に『赤毛のアン』『秘密の花園』『オリエント急行殺人事件』『アクロイド殺人事件』(以上、偕成社)『レベッカ』(新潮社)などがある。
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Last Modified: 2009/03/19
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