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子どもの本だより 特別号 2000.7.9

夏休みにたのしい本を


 待ちに待った夏休みがやってきます。「子どもの本の店」では、冒険・ファンタジー、それからちょっぴり恐い幽霊の物語など、選りすぐりの本を揃えました。その中のほんの一部をここで紹介します。たくさんの物語の主人公たちが皆さんと出会うときを待っていますよ。(担当 吉田)


えほん


沖釣り漁師のバート・ダウじいさん
童話館出版 (本体価格1943円)

 バート・ダウじいさんは、年とった沖釣り漁師。そして、じいさんの愛する「潮まかせ」も動いたり止まったりの引退ま近の老船。そんな二人(?)が漁に出かけたある日のこと、小魚一匹も釣れないとあきらめかけたその時、クジラを釣りあげてしまい――。話の展開のおもしろさは、もちろんのこと、巨大なクジラや荒れ狂う海の様子など、画面いっぱいに描かれた迫力満点の絵が魅力です。


くんちゃんのもりのキャンプ
ペンギン社 (本体価格950円)

 くまのこのくんちゃんのキャンプは、ひとあじ違ったものでした。いとこのアレックとふたりで出かけ、出会った動物たちを丹念に観察します。そしてかわせみが、水に飛びこんで魚をとるのを真似したりして、失敗を重ねますが、そのうちくまらしい魚のとり方、くまらしい眠り方などを体得していくのでした。キャンプから帰って、お父さんお母さんに報告するくんちゃんの誇らしげな様子は、幼い子供たちそのもののほほえましい場面です。


くれよんのはなし
ほるぷ出版 (本体価格 1000円)

 元気よく、箱から飛びだして、絵を描き始めたくれよんたち。青いくれよんは、空と海を黄いろいくれよんは、太陽と島を。緑のくれよんは葉っぱと……。ところが、完成した絵は、はからずも悲しそうで「だけど、もう直せないよ。」と青いくれよんは、つぶやきます――。うっとりする程に美しい夕やけと、思いがけない幸せな展開で迎える結末は絵本ならではの、深い感動を与えてくれます。


チムとゆうかんなせんちょうさん
福音館書店 (本体価格1100円)

 幼いながら、私は船乗りになりたくてたまりません。ある日、沖に停まっている汽船に連れていってもらい、そのまま船が出るまで隠れていました。何も知らずに出航した船は嵐のため、難破し、船長さんと二人、傾いた船にとり残されるという非常事態に遭遇することになります。チムの純粋でひたむきな様子と次々とまきおこる事件に子どもたちの冒険心はすっかり満足させられることでしょう。


ねこのオーランドー農場をかう
童話館出版 (本体価格1752円)

 小さい荒れた農場を買いとったオーランドー一家の奮闘ぶりをユーモラスに綴った絵本です。こねこのやんちゃぶり、農場の動物たちのゆかいで個性的な表情が丁寧に描かれていて、とにかく飽きるということがありません。開くと50cm程にもなる大きな絵本ですが、すみずみまでたっぷりと堪能して頂けると思います。


げんきなマドレーヌ
福音館書店 (本体価格1300円)

 パリのつたのからんだ、ある古い屋敷に、12人の女の子が暮らしていました。さて、その中で一番のおちびさんのマドレーヌが、盲腸炎で入院することになったのです。随所に描かれるパリの有名な建築物の美しさもさることながら12人の女の子たちが実に生き生きとのびやかです。マドレーヌが得意気に手術の傷を披露する場面は、特に私のお気に入りです。


よみもの


ミス・ヒッコリーと森のなかまたち
ほるぷ出版 (本体価格1359円)

 ヒッコリーの実と、リンゴの木の小枝でできている人形が一人置いてきぼりにされ、家も失ったところから話しは始まります。森の中でたった一人で生きていかなければならなくなった、ミス・ヒッコリーには、様々な動物たちとの出会いや、危険が待っていました。圧巻は森の中でのクリスマス・イヴの出来事。読み手も固唾をのんで引きこまれる場面です。そして更にドラマは、淡々と最後のクライマックスへ進みます。気位高く凛と生きるミス・ヒッコリー。そのペーソスとユーモアに富む洒落た会話。お話の醍醐味がたっぷり味わえる極上の一冊です。


ちいさいロッタちゃん
偕成社 (本体価格1200円)

 ロッタはすえっ子のみそっかす。
 はやく、わたしやわたしのにいさんのヨナスのように、大きくなりたいって思ってるの――。語り手は、ロッタのすぐ上の姉マリア(5歳)です。エピソード一つ一つにくすりと笑ったり、感心したり……。読み終えた後、誰もが愛すべきロッタのとりこになっていることでしょう。続編に「ロッタちゃんのひっこし」絵本で「ロッタちゃんとじてんしゃ」「ロッタちゃんとクリスマスツリー」があります。


チム・ラビットのぼうけん
童心社 (本体価格1500円)

 子どもは、日々新しい体験を積みながら成長して行きます。初めて風やひょう、雷などに出会ったチムは、それらを怖いと感じますが、やがて、みんなが自分を守ってっくれていることを知ります。草木の香りがいっぱい感じられる自然の中で、チムがくり広げる9つの小さな冒険は、それぞれにほほえましく、又意表をついていて、手中の玉のように大切に味わいたくなります。


古城の幽霊ボガート
岩波書店 (本体価格1800円)

 スコットランドの古城にもう一千年以上前から住みついている妖精(のようなもの)ボガートは、城を相続した一家が運びだした机ごと、カナダの大都会トロントへやって来たのです。スコットランドの西の果てと、喧騒の街トロント。古えの妖精とコンピュータゲーム。全く正反対と思えるものたちを融合したことで、ぐっと味わい深くなった秀逸なファンタジーです。


親指こぞうニルス・カールソン
岩波書店 (本体価格1900円)

 ベッドの下のねずみ穴から小人が出てきて「やあ、僕は君の下の部屋に住んでいるんだよ。」と言ったら……どんなに楽しいことでしょう。お父さんもお母さんも仕事に出かけてしまって毎日一人ぼっちのベルティの目の前に、ある日本当に小人が現れたのです――。この表題作の他、かっこう時計の中のかっこうが本当に生きている酉だという話、種から育ったお人形の話など、ちょっと不思議で楽しい短編が9話収められています。リンドグレーンの筆の確かさを再認識する一冊。


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