
子どもの本だより No.5 1998.2.18

この冬、東京地方では積もるほどの雪は降りませんでした。雪は現実生活の中では厄介なものですが、一方で私たちの目や心をなごませ、豊かな気持ちにさせてくれます。この号では、そんな雪の日の様子を描いた本を中心にご紹介致します。
はじめてのゆき なかがわ りえこ さく なかがわ そうや え 福音館書店(本体743円+税)
とらのこのとらたが、あさ外へ出てみるとどこもかもまっしろ。すなばも、ばけつも、しゃべるもなくなっています。そして、むこうからころがってきたのは、ゆきだるま。ゆきだるまととらたの会話がたのしくはずみます。……はじめてゆきを体験したとらたの喜びと驚きが、のびやかな絵と文で表現されています。
しろいゆき あかるいゆき さく アルビン・トレッセルト え ロジャー・デュボアザン やく えくにかおり BL出版 (本体1262円+税)
しろいゆき あかるいゆき なめらかにふかく
かろやかなゆき よるのゆき ねむったようにしずか
ふってくるふってくる おともなく
ふってくるふってくる こおれるちじょうに
雪が降る前ぶれ、最初のひとひらが落ちてきた瞬間、降り続く雪に埋まってゆく家々、雪の中で遊び回る子どもたち、そして暖かい陽ざしを受けて溶けてゆく雪――。雪が降り始めるところから、雪がすっかりとけて春がやって来たところまで描いたこの物語は一編の美しい詩のようです。雪は必ずしも楽しいだけのものではありませんが、自然の魅力を十分味わえる絵本としておすすめします。
エミリー マイケル・ビダード 文 バーバラ・クーニー え 掛川恭子 やく ほるぷ出版 (本体1400円+税)
この不思議で美しい物語はこんなふうに始まるのです。”わたしのむかいの家に女の人がいもうととすんでいます。町の人たちはその人のことを”なぞの女性(ひと)”とよんでいます。−略−でもわたしにとってはその人はエミリーです。”なぞの女性”の家にピアノをひきにいくことになったママといっしょに”わたし”は黄色い家をおとずれます。たった数分間の”わたし”と”エミリー(詩人 エミリー・ディキンソン)”との出会いとその前後数日間が描かれています。静かに季節はめぐり、そこに住むやさしく繊細な人々をつつみこむように余韻を残して物語はおわります。
福音館書店の復刊本が入荷しました!!
『オーラのたび』や『ちいさいじどうしゃ』など、長らく品切れになっていたものです。この機会にぜひどうぞ。
岩波書店の品切れ・絶版本コーナーを作りました。
『ふわふわくんとアルフレッド』『おふろばをそらいろにぬりたいな』など。
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