
子どもの本だより No.27 2000.12.12

優れた子どもの本の多くは、人が生きていくあるがままの姿を、とても深く描いています。そして、子どもの本であるが故の簡潔さと、率直な表現で不意をついたように、私の心を打ってくるのです。まずは読んでみて下さい。長らく品切れの続いた二冊の絵本を紹介いたします。 担当 吉田
赤い目のドラゴン
リンドグレーン 文 ヴィークランド 絵 ヤンソン由美子 訳 岩波書店 本体1400円
突然、どこからともなくやってきて、ぶた小屋に住みついたドラゴンを“わたし”と弟はとてもかわいがりました。わけもなく機嫌が悪くなったり、ちょっと意地悪なことを言うだけで、大粒の涙を流すドラゴン――。
そして、北欧のしんとした冷えた空気が肌に伝わってくる中、ドラゴンとの別れへと物語は進みます。胸がしめつけられるような、せつなさを“わたし”は初めて体験したのでしょうか? いいえ、何度体験したかではなく、感じる心を持っているかどうかなのだと思います。センチメンタルな表現は一切なく、ただ“わたし”の気持ちだけにぴったりと寄り添って、しめくくられた物語に心の琴線は震えて、澄んだ音色を響かせてくれることでしょう。
百まいのきもの
エリノア・エスティーズ 文 ルイス・スロボドキン 絵 石井桃子 訳 岩波書店 本体800円
「あたし、うちに百まいのきものをもってるわ。」なぜ、ワンダはそんな嘘を言ったのでしょう。その日から、ペギーはワンダをばかにしたように、からかい始めたのです。だって、ワンダが持っているきものと言えば、毎日着てくる、はげちょろの青いきもの一枚きりに決まっているからです――。恵まれた環境に育ち、その為に残酷な程、ワンダの貧しさに鈍感なペギー。いつも、ひとりぼっちでいるワンダに秘かに心を痛めてはいても、それを口に出すことはできないマディー。少女たちの笑いさざめく声が聞こえてきそうな、この物語を読んで、かかえきれない程の思いを心に抱いて生きている私たち一人一人を愛しく感じずにはいられませんでした。終盤には思いがけないクライマックスも用意されていて、この物語を一層コクのあるものにしています。
年末年始のお知らせ
年内は無休で28日(木)まで
年始は1月4日(木)より、営業致します。
営業時間が変わります!
年始より午後6:00までの営業とさせて頂きます。
(開店は今までどおり、午前10:30です。)
本の定期便
詳しいパンフレットをさしあげます。
毎月定期的に本をお届けします。お友だちやお孫さんへのプレゼントにもご利用頂けます。
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