
子どもの本だより No.30 2001.4.8

真剣に生きていれば、時に傷つき迷うこともあるのだと、幼い頃から私は本の中の住人に教えられてきたような気がします。そしてその解決の知恵も……。
今月、ご紹介する本も心をたくましく健やかにするために力を添えてくれました。子どもたちに出会って欲しい、とっておきの二冊です。 担当 吉田
ふわふわしっぽと小さな金のくつ
デュ・ボウズ・ヘイワード作 マージョリー・フラック絵 羽島葉子訳
パルコ出版 1553円+税
多くの人が、すい寄せられるように手に取るこの絵本の表紙には、一列にずらりと並ぶ二十二匹のうさぎの姿が描かれています。ふわふわしっぽを中心に耳をピンとたてた、とてもりこうそうな子うさぎたちです。
「おとなになったら わたし イースターバニーになるの。いまにみてて!」小さないなかうさぎの女の子が夢みたもの――それは、賢さと優しさを兼ねそなえた、たった五匹の選ばれしうさぎに与えられる名誉の役めでした。ピンクやブルーの淡い色を基調にした絵は砂糖菓子のような甘さで見るものを魅了しつつ、可愛らしさだけではない、はつらつとした躍動感もみなぎらせています。何よりも、ふわふわしっぽの誠実でまっすぐな生き方に人間のあるべき姿を見るような気がして、その美しいたたずまいに強い憧憬を覚える私です。
みにくいガチョウの子
ディック・キング=スミス作 卜部千恵子訳 岩波書店 1359円+税
農場で育ったジャックは、五歳の時から様々な鳥を育ててきました。セキセイインコ、チャボ、アヒル、ガチョウ……。そして八歳になった時、動物公園のダチョウの卵をこっそり持ち帰り、ガチョウのめすに抱かせるのですが――。お話は二つの軸で進行していきます。ジャックは無事にかえったダチョウのヒナをこの上なくかわいがりますが、元はといえば、それは盗んできた卵――それをどう解決していくかということ。もう一つは自分たち親より、とてつもなく大きい身体で生まれたヒナを懸命に世話する気のいいガチョウ夫婦の姿。長年農場を営んできたという作者の動物を見る目は正確で、その作りごととは思えない優れた筆の先には、胸が高鳴るような結末が用意されています。皆さんも、とびきり上等なハッピーエンドに酔いしれてみませんか?
毎月、本だよりを楽しんで下さいましてありがとうございます。
来る5月6日に店を閉じることになりました。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんが、どうぞ最後までご利用下さいますようお願い申し上げます。スタンプカードをお持ちのお客様は一杯になっていなくても是非ご来店下さって、心ばかりの粗品とお引き換え下さい。
尚、本だよりは今月もう1号を予定しております。
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