
子どもの本だより No.29 2001.2.16

自分の中にひっそりと息づいていた“思い”が、その詩人の言葉をかりて忽然と輪郭を持ち始める時、身体中が満ち足りてゆくのを感じます。拙い表現力しか持たない私にとって詩とは、かけがえのない心の糧です。気持ちの緊張を解き放って“生きている言葉 ― 詩 ― の世界”をご一緒に堪能してみませんか? 担当 吉田
ウォルター・デ・ラ・メア詩集
孔雀のパイ
ウォルター・デ・ラ・メア 詩 エドワード・アーディゾーニ 絵 まさきるりこ 訳
瑞雲舎 本体1800円
ある時は、みずみずしい感性でありのままの自分を表現する少年の顔。また、ある時は、時の流れをロマンティックにうたいあげる貴人の横顔。不気味であったり、ユーモラスであったり謎めいていたり ――。様々な表情をみせる、デ・ラ・メアの82編が収められた詩集です。目に見える現実の世界をきっちりと表現していこうという、この詩人の心がまえが媚びたところのない詩篇から伝わってきます。が同時に、現実は時として夢のように幻想的でもあるのだという、じんわりとした感触も残るのです。子どもたちのぴちぴちとした躍動感を、あくまでも繊細なタッチで描いたアーディゾーニの絵は、見る者を唸らせる説得力に満ちていて“やはりこの画家しかいない”と独りごちた私です。
木はえらい イギリス子ども詩集
谷川俊太郎/川崎洋 編訳 岩波少年文庫 本体640円
この小さな詩集を手にとってどうぞパラパラとめくってみて下さい。“詩ってこんなにおもしろいものなの?”なんて驚かれるんじゃないでしょうか?
ぼく知ってるぜ プリンを口いっぱいほおばって
そいつを鼻から吹き出せるやつ
ぼく知ってるぜ 耳をヒコヒコ出来るやつ
ぼく知ってるぜ アイウエオをさかさまにいえるやつ
― 中略 ― そいで 誰かといえば
そいつはこのぼく (「知ってるぜ」より)
くすりと笑いを誘うものや、かなり辛辣なもの、心がポッと暖まるものまで6名の詩人の作品72編が私たちを存分に楽しませてくれます。解釈講釈一切無用“私も詩人になれるかも”と嬉しい誤解(?)も抱かせてくれそうな一冊です。
◇復刊のお知らせ◇ 福音館書店より
おすすめ!
『マドレーヌとジプシー』
『きかんぼのちいちゃいいもうと』
他に『それほんとう?』『ねえさんといもうと』
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