
子どもの本だより No.20 2000.3.8

三寒四温のこの季節、一年のしめくくりや新しい年度の準備にいそがしくお過ごしの方も多いと思います。新しいスタートがみなさまにとって明るく希望に満ちたものであることを願いつつ、今回も三冊の本をご紹介致します。
ふふふんへへへん ぽん! ―― もっと いいこと きっと ある ――
モーリス・センダック さく じんぐう てるお やく 冨山房(本体1500円+税)
短いマザーグースの詩をもとに、書かれた絵本です。犬のジェニーには、何もかも揃っていました。枕が二つ、おわんが二つ、赤い毛糸のセーターが一枚などなど。でも「もっといいこときっとある!」と生きがいを求めて旅に出ます。そして、いろいろな”経験”をつんだ末、なんと世界マザーグース劇場の舞台女優になります。主人公の犬のジェニーとその他の登場人物たちがくり広げるやりとりはユーモアに満ちていて、とても愉快です。
ちゃぽのバンタム
ぶん ルイーズ・ファティオ え ロジャー・デュボアザン やく 乾 侑美子 童話館出版(本体1171円+税)
ちゃぼのバンタムはからだも小さく、ときの声もつくれないので、いつもおんどりの大将にやられてばかりいました。けれどもある朝、きつねが農場を襲って、大好きなめんどりのナネットが口にくわえられたのを見た時、バンタムはうまれてはじめて「コケコッコー」と叫び、きつねにおそいかかったのです。バンタムが羽根のはえたねずみ花火のようにきつねとたたかう場面は大変な迫力です。
一見平穏そうに見える農場の中で起こった出来事。それは集団生活を始めた子どもたちの姿とも重なり、小さいながらも、勇気ある行動にでたバンタムに心からの拍手を送りたくなります。
スクーターでジャンプ!
ベラ・B・ウィリアムズ 作・絵 斉藤倫子 訳 あかね書房(本体1262円+税)
メロンヒル・ハウスに引越してきたイレーナの宝物はスクーター。頭からおちるほどのケガをしたって、ジャンプや”かかと打ち”はやめられない――そんなイレーナは新しく出会った友人たち(大人や子どもも)と、ふれあいながら、すっかりメロンヒル・ハウスの子になっていきます。”物知り博士のジミーベック”とは、エレベーターの所で一番最初に出会いました。それから、ヴィン、エイドリアン、そしてピーティー。ピーティーは一言もしゃべらないと、みんな心配しますが、イレーナは、ピーティーが一言だけ話したのを聞いたことがあったのでした――。
人なつっこくて、繊細な少女の息づかいまで聞こえてきそうな、明るく生きののいい物語です。
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