
子どもの本だより No.17 1999.11.7

11月3日に、子どもの本の店は開店満一年を迎えました。この1年、私どもの店をご利用くださった皆さまに、心からお礼を申し上げます。この「子どもの本だより」では、これからも、もっともっとたくさんの素晴らしい本をご紹介していきたいと思っておりますので、どうぞご愛読くださいますように。今号では、人々の生活をテーマにした絵本を3冊取りあげてみました。
にぐるまひいて
ドナルド・ホール ぶん バーバラ・クーニー え もき かずこ やく ほるぷ出版 (本体1400円+税)
これは19世紀初めのアメリカ、ニューイングランド地方に住む一家の一年の暮らしぶりを描いた絵本です。とうさんが、この一年間に家中みんなで作り育てたものを、荷車に積みこんで、街に売りに行くところからおはなしは始まります。つましい自給自足の生活がしのばれます。けれども、豊かで美しい自然の恵みを受けながら、一人一人が自分の出来ることをして生活を支えているこの家族の姿に、人が生きることの原点を見るような気がします。その上、何といっても一枚一枚の絵の美しさが、心に残ります。ぜひ家族皆さんで楽しんでいただきたいと思います。
新刊 シェイカー通りの人びと
アリス・マーティン・プロベンセン 作 江國香織 訳 ほるぷ出版(本体1400円+税)
そう遠くないむかし、学校通りをくだり、バイオリンひき橋をわたると、シェイカー通りがありました。――と、この絵本は始まります。そして、かつてシェイカー通りに住んでいた人々を、まるで写真集のように紹介していきます。そこにはよけいな説明はなく、ただ人々の生活ぶりが簡潔に語られているだけです。でもなぜか、シェイカー通りの人々に親しみが湧いてくるのは、プロベンセン夫妻の描く美しい絵の力なのでしょう。
ある日、シェイカー通りは、貯水所の建設のために水の底に沈むことになり、人々はそれぞれに立ち退いていきます。”穏やかな生活”も時には乱されることもあるけれど、それでもなおかつ人間は生きていくのだ――という、生きることの素晴らしさを考えさせる一冊だと思います。
すんだことはすんだこと
ワンダ・ガアグ 再話 え 佐々木 マキ やく 福音館書店 (本体1000円+税)
はじまりは、楽しそうに見えたおかみさんの仕事と、おひゃくしょうさんの自分の仕事を、ちょっと交換してみようと思ったこと――ただそれだけだったんです。ああそれなのに、こんなことになるなんて――。
仕事をとりかえたフリッツルは、気持ちよくソーセージをいためます。それから「コップ一杯のリンゴ酒がソーセージにそえてあったら、まさにうってつけなんだが」と考え、思いついたらすぐに実行せよとばかりに、地下室へ下りていったのですが……。大失敗を繰り返したあげく、何もかも台無しにした夫に”明日はもっとうまくやれるよ”と言う、おおらかなおかみさんの言葉も素敵です。小さな失敗を悔やむ自分に唱えてみてはいかがでしょうか。「しょうがない。すんだことはすんだことだ」ってね。
お知らせ
Christmas特集 ☆☆☆☆☆
11月16日からクリスマスの本の特集をいたします。内外の美しい絵本、読み物を揃えました。ぜひ、ご利用ください。
なお、20世紀最後の年のカレンダーは、種類によって品切れも出ておりますので、お早めにどうぞ!
絵本のじかん
毎週日曜日午後3時から絵本を読んでいます。どうぞお気軽にいらしてください。
本の郵送承ります
店にある本は即日発送、ない本はおとりよせします。ご注文は、ハガキ・FAX・TELにてどうぞ。
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