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01257/01258 ぺんぎん 【感想】 "ANGELA'S ASHES"
(12) 99/05/16 22:36

Picardさん、みなさん、お久しぶりです (^^; 実にマイペースな私で…

"ANGELA'S ASHES A Memoir of a Childhood"
Frank McCourt
Flamingo 1997

【あらすじ】
 僕の両親はアメリカで結婚し、僕ら四人の子を連れて故郷へ帰った。でも帰
るべきじゃなかった。アイルランドで送る子供時代の悲惨さときたら並大抵
じゃない。我ながらよく生き残ったものだと思う。
 僕らが住みついたのは母さんの故郷のリメリック。雨の多い町で、幼い弟た
ちは肺炎にかかり次々と死んでいった。借りた家はすごいボロ家で、共同便所
の隣だから、その臭いときたらたまらない。冬には一階が水浸しになるから二
階へ移住。僕らは二階を『イタリア』と呼び、一階は『アイルランド』になっ
た。食べていくのがやっと、ときにはお茶をわかす石炭もなく、道端に落ちて
いるのをあさりに行く始末。父さんはIRAくずれの飲んだくれで、よそ者だ
から仕事にありつけず、やっと働いても給料を全部飲んでしまう。でも僕は父
さんが大好きだった。その父さんも戦争が始まると、僕らにせっつかれてイギ
リスへ出稼ぎに行った。ところがそれっきり、仕送りもしてくれない。母さん
はますますつらい思いをし、一家は貧乏のどん底に。
 それでも僕は大人になっていった。アルバイト先の郵便局に就職するはず
だったけど、皆の期待に反してやめたのは、夢があったからだ。僕は働いて金
を貯め、ついにアメリカへの切符を手にした。

【本書について・および感想】
 '97年度ピュリッツァ賞伝記部門受賞作。著者フランク・マコート氏の自叙
伝です。本書は氏がアメリカにたどりついた時点で終わっていますが、渡米後
は長年教職をつとめ、現在は退いて講演などされているようです。
 あらすじだけ紹介すると、ひどく悲惨で読むのがいたたまれなくなりそうで
すが、実は面白くてやめられなくなります。面白がっては申し訳ないほど悲惨
な話の連続なのに、まるで暗さを感じさせず、ちょっとブラックな可笑しさを
たたえています。現在はかなりの御歳のマコート氏がまさしく子供の視点で、
子供の口で語っていることには驚異すら覚えました。
【あらすじ】でははしょりましたが、一つ二つエピソードを紹介しておきま
す。

* ニューヨークにいた頃、四歳の「僕」はひもじさに泣く弟のために、店先か
らついバナナを盗んでしまう。皆で食べていると、その店のおじさんがやって
きた。覚悟を決めていくと、おじさんは果物がいっぱい入った袋を持ってい
る。「捨てにきたんだからね」おじさんは僕らの一家があまりに貧乏なのを
知っていたのだ。

* 初めての聖体拝領の日、「僕」はおばあちゃんの家でお祝いのご馳走をして
もらった。あまりに意地汚く食べるのでおばあちゃんが嫌味を言ったとたん、
「僕」は庭へ出て聖体もろとももどしてしまった。さあ、おばあちゃんの怒っ
たこと。何てばちあたりな、あたしの庭に神様を。教会へ行って懺悔して、ど
うすればいいか聞いておいで。告白を聞いた神父様はしばらく苦しそうにして
から(笑っていた?)答えた。水で流すがよろしい。おばあちゃんに伝える
と、もう一度行ってこいという。聖水か、ただの水でいいか聞くんだよ。

 訳書も出ています。ちらりとだけ見ましたが、原文のリズムをよく写した名
訳だと思いました。そのうちきちんと読むつもりです。
 余談ですが、表紙の子供の写真がかわいいのです。靴も買えないらしく裸足
で、ちょっとひねくれた笑いを浮かべて。「僕」のイメージそのものですが、
著者の写真ではないようです。


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