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00557/00558 ぺんぎん      【読了報告】"THE INKEEPER'S SONG"
(12) 98/12/04 01:11

みなさん、こんにちは。笑ってやってください、やっと一冊読みまし
た。(^_^;)


Peter S. Beagle "THE INKEEPER'S SONG" (ROC, 1993/ 346p)

 残っているのは一篇の歌。ある宿屋の主人の嘆きの歌だ。『女が三人
やってきた――一人は漆黒、一人は褐色、一人は月のように白い娘 …
…』とんだ災難をもたらしたという女たちは何者だったのか。何が起き
たのか。時のかなたから歌をめぐる男女が現れ、口口に語りだす。
 漆黒の肌に金の瞳、紫檀の杖をたずさえ、「船乗りラル」「仕込み杖
のラル」等あまたの名で知られる冒険者、ラルカムシン=カムソラル。
彼女は、自分を慈しみ育ててくれた魔術師が危機に瀕していることを知
り、救けに赴こうとしていた。とある村でラルは川の底で叫ぶ魂の声を
聞きつけ、溺死した娘ルカッサを蘇らせて連れてゆく。旅を続ける二人
の前に現れたのは、謎めいた褐色の女ニャテネーリとペットの狐。彼女
もまた、魔術師の教えと愛情を受けた者だった。
 三人はやがてある宿屋にたどりつく。探索、闇の力との闘い、愛と死
のドラマが、この小さな宿屋でくりひろげられる。宿の厩番の少年ロセ
スの人生を、三人の美女は嵐のように通りすぎた。しぶい顔で見守るあ
るじのカーシュ。記憶を失ったルカッサを追うかつての婚約者ティカッ
ト。登場人物たちは代わる代わる語り、ときにはフーガのように流麗
に、ときにはだまし絵のように読者を惑わせながら、ひとつの物語を紡
ぎ出す。

 以前発言したとき、口語なので読みやすいと申し上げましたが、それ
は始めのうちだけでした。すみません。口語には口語ならではの難しさ
があり、飛躍や『意識の流れ』的なところ、意図して混乱させていると
ころもあり、大変でした。とくに狐(!)の台詞が…… でもクリフに
いらっしゃる皆さんならこれはこれで楽しめますよね。
 鮮やかなイメージに彩られ沢山のテーマにみちたこの本を一口に語る
のは難しいです。でもただ一つ確実に言えるのは、読みおえた後に、す
こし寂しい、すがすがしい余韻が残ることでしょう。
 作者のビーグルはこれまでに何作ものすばらしいファンタジーを書い
ていますが、中でも"THE INKEEPER'S SONG" の舞台は、最も想像力を駆
使した独特な世界となっています。ビーグルは別世界創造の楽しさにめ
ざめたのか、'96年には同じ背景をもつ短篇集"GIANT BONES"を出しまし
た。実はぼちぼち読んでおりまして、こちらはもっと気楽な…… お
おっと、途中で書いて裏切られるのは懲りたから、ちゃんと読み終わっ
てからにしよっと。


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