「ハイペリオン」 読書会

第1回



03916/03919 マルタの猫 【読書会】ハイペリオン (第1回)
(12) 00/07/23 21:35

『ハイペリオン』読書会参加者のみなさま、こんにちは。
第1回進行役のマルタの猫です。よろしくお願いします。

今回の範囲は、p1〜p52 L4で、「司祭の物語」の前半までとなってい
ます。

初回ということもあって新しい情報が多く、また独特の世界を描き出
しているので、とっつきにくく感じた方もいらっしゃるかもしれません
ね。 参考までに、翻訳書(『ハイペリオン』酒井昭伸訳 早川書房)での訳
語を調べて、[ ]内に添えておきます。({ }内はルビ)
ご自分のイメージで読み進みたい方は、無視して下さい。

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【プロローグ】

とある惑星上のConsul[領事]のもとに、Hegemony[連邦{ヘゲモニー}]
のCEOであるMeina Gradstoneからの通信が入る。
かつての任地、惑星ハイペリオンに7人の巡礼の1人として戻ってほ
しい。ハイペリオンのTime Tomb[時間の墓標{タイム・トゥーム}]が開き
かけていて、封じ込められていたShrike[百舌{シュライク}]が解き放た
れようとしている。しかも、連邦の敵 Ouster[放逐者{アウスター}]にハ
イペリオンへの侵攻の動きがあり、7人の巡礼の中にも少なくとも1人
Ousterのエージェントが紛れ込んでいるという。Ousterのエージェン
トを抹殺する一方で、「時間の墓標」とシュライクの秘密を解き明か
し、再び封印することに、連邦の存亡がかかっている。
翌朝、領事の宇宙船は巡礼船と合流を果すべく飛び立った。

【僧侶の物語 (p.1 〜 p.52 l.4)】

treeship[聖樹船] Yggdrasill[イグドラシル]の船内。ハイペリオンか
らの距離2光秒、到着まであと5時間。
領事は低温睡眠から目覚め、他の6人の巡礼たちに引き合わせられ
る。 他の6人とは、

Father Lenar Hoyt (the Priest)
カトリックの司祭。見かけは30代はじめくらい。
Colonel Fedmahn Kassad (the Soldier)
かつてthe Butcher of South Bressiaと称された高名な軍人。
Martin Silenus (the Poet)
詩人。見た目は50代後半。推定年齢90−150歳。
Sol Weintraub (the Scholar)
有名な学者。 生後数週間にしか見えない娘のRachelを伴っている。
Browne Lamia (the Detective)
女性探偵。
Het Masteen
Yggdrasillの艦長。 True Voice of the Tree[聖樹の真の声]。

学者Weintraubの発案で、時間の墓標への道中、全員が順番に惑星ハイ
ペリオンとの関わりを物語ることになる。
第1の話し手のHoyt(司祭)は、古びた日記帳を手に語りはじめた。

◎The Priest's Tale 若きHoytは、追放になったPaul Dure神父を任地ハイペリオンへ送りと
どけた。Dure神父は、伝説のBikura族の調査を行なうため、ハイペリオ
ンの南、Aquila[鷲{アクイーラ}]大陸の奥地へ赴きたいと語っていた。
帰りの旅を終えたHoytは、Dure神父が4年前のハイペリオン到着直後
から行方不明になっていることを知る。Hoytは再びハイペリオンを訪
れ、Dure神父の日記を手に入れた。

(Dure神父の日記)
第1〜5日 首都キーツ滞在。
第10−11日 飛行船の旅。
第28日 Port Romance滞在。8日間に3つの死体を見る。
第41日 Kans川を遡行する船旅の途中。
第60−66日 Pereceboプランテーション着。病気で数日間寝込む。
第75−87日 ガイドのTukと共に奥地への旅。
第88日 Tukが何者かに殺される。
第95日 1人で森を歩きまわる日々が続く。

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○感想など

外枠の物語だけでも充分エキサイティングです。Time Tombって?
Shrikeって何? とたちまち引き込まれます。しかも、何やら緊迫した
状況。さらにこれから、いかにもワケアリといった風情の面々が、ハイ
ペリオンにまつわる物語を語っていくという。
司祭の物語も、Dure神父はこれからどうなっちゃうの? というとこ
ろです。この先が気になりますね。まだShrikeも出てこないし。
Aquila大陸の奥地の植物は、生命活動が激しそうです。訳書では、
flame forestは[炎精林]、tesla treeは[雷吼樹]という訳語になってい
ました。ほんとに「吼える密林」て感じ。

○SF的な部分について

「物語」を重視した小説なので、SF的な設定の部分はあまり気にせず
読み進んでもいいと思います。以下は、気付いたことを少し。

タキオンを使った超光速通信を実現しているようです。fatlineと呼ん
でいます。 タキオンはSFではおなじみの超光速粒子。SF用語ではなく、物理
学の用語です。リーダーズやランダムハウスにも載っています。

tachyon n. 【理】 タキオン 《光より速い速度をもつとされる仮説的素粒子》.
人間が移動する手段としては、quantum-leap [量子リープ]という航法
を用いているようです。(p11)
Hoytによると、ハイペリオンへの往復の旅は、惑星Pacemから「低温睡
眠で20ヵ月と、さらに出発直後と到着直前に覚醒状態で数週間ず
つ」。この間に惑星Pacemでは8年が経過してしまいます。
大きな移動は超光速の「量子リープ」で行ない、その前後を亜光速で
航行する。「量子リープ」の間、人間は低温睡眠ですごす、と考えれば
いいのでしょうか。
ちなみに、光速に近い速度で移動する人と、地上の人の体感する時間
にずれが生じる現象を、日本のSF用語では「ウラシマ効果」と呼んで
います。

ちょっと悩んだのが、この表現。

citizens who travel between the stars rather than along the Web
(p21 学者のセリフ)

つまり、「travel between the stars」と「travel along the Web」
という2つの移動方法があるいうことですね。宇宙船で旅するのが前者
だとすると、後者は?
序章を読んでいたときは、the Web(the World Webも同じ?)はイン
ターネットみたいなものかと思っていましたが、「travel along the
Web」となると、「物質転送機」のようなものでしょうか。Webが整備さ
れている所ならWebで移動できるが、ハイペリオンは辺境の星なので、さ
らに宇宙船で「量子リープ」しなくてはいけないということ?
p21の学者のセリフからすると、宇宙船で旅をすると航時差が生じる
が、Webでは瞬間的に移動するので航時差は生じない、ということでしょ うか。

comlogという道具も気になりました。モバイル・コンピュータのよう なもの?

○その他

第75日に出て来る domine, dirige nos. というのはラテン語のよう
です。 domine は「主よ」、nos は 「我ら」、dirige は「真っ直ぐにする,
目標へ向ける」の意の動詞 dirigoの命令法、かな?
合わせて「主よ、我らを導き給え」となるのでしょうか。

第95日に出て来る Merde. はランダムハウスによると「(怒り・い
らだちを表して)くそっ,ちぇっ」というフランス語。ちなみにラテン語
のmerdaも「糞」という意味のようですが、さすがに罵声にはラテン語は
使わないでしょう。Dure神父は、名前の感じからもフランス人の子孫と
推測できますね。

いろいろな神話・伝説から言葉を借用してイメージをふくらませてい
るようです。 例えば、Parvatiはヒンドゥー教の女神の名、Yggdrasilは北欧神話に
出てくる世界樹イグドラシルからとっていますね。

読み違い等ありましたら、ご指摘下さい。

マルタの猫


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